待望の新型機「ボーイング797」ついに誕生か!? 「次の新型機を製造する」CEOが発言…どんな機体になるのか?

一度「作るぞ!」の方針が掲げられたものの…。

「新型機はワシントン州で作ります」

 アメリカの航空機メーカー、ボーイングは、同社の労働組合「IAM」と労使契約の暫定合意を結んだと発表しました。このなかにはボーイング民間航空機部門社長兼CEOが「ワシントン州(本社のあるシアトル近郊を意味する)で、ボーイングの次の新型飛行機を製造する」と話したという文言が盛り込まれています。このことで、海外メディアでは、いわゆる「ボーイング797」が誕生する可能性も報じられています。「797」はどのような機体となるのでしょうか。

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ボーイング「737-10」(画像:ボーイング)。

 ボーイングは797の設計をこれまでも検討してきました。かつて「NMA(New Midmarket Airplane、新中型機)」と呼ばれた計画がこれで、メディア関係者を中心に「ボーイング797」と呼ばれるようになりました。

 開発が進められていた2019年当時のボーイングの幹部は「NMA」について次のように紹介しています。

「大型の単通路機と、いちばん小さい複通路機の中間にあたるもので、ふたつのモデルを用意する予定です。座席数は220席から270席程度で、需要は4000機から5000機が見込まれます。順調にいけば2020年代中盤にもデビューする見込みです」。また当時の発表によると、航続距離は最大で9000kmを上回る程度。これは10時間超のフライトも可能なモデルであることを意味します。

 なおボーイングでいえば、現在実用化されているなかで「最も大型の単通路機」は180席から220席を配する737-900ER、「いちばん小さい複通路機」は210席から250席を配する787-8が該当します。このほか、将来的には188席から230席のキャパシティを持つ「737-10」がラインナップに加わる予定です。

 しかし「NMA」計画は2020年に事実上白紙に。これは同社の単通路機「737MAX」で安全上の問題が相次ぎ、そちらの解決に専念する必要性が生じたこと、市場環境が変化したことで撤退説が流れるなか、新型コロナウイルス感染拡大が航空業界を襲い、これが決定打となったと報じられています。

 今回の労使契約合意によって、ワシントン州で797が作られる可能性こそ高まったものの、「NMA」の仕様が797へと引き継がれるかは明らかになってはいません。しかし、現状ボーイングでは「NMA」のマーケットをカバーできるような新型機はないほか、競合メーカーであるエアバスでは、180席から224席で、約8700kmの航続距離を持つ「A321XLR」が実用化寸前。現状、ボーイングはライバル機を生み出せていない状況となっています。

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