「冠水注意?大丈夫でしょ」が命取りになる理由 進まない開かない…ヤバイ! 水が引いてからもリスク大

大雨時に、アンダーパスや海岸沿いなど水が溜まりやすい道路に行くと、クルマが冠水し動かなくなることがあります。「行けるかも」と思ってしまうのは禁物です。意外とクルマは水の影響で故障します。

水が60cmを越えたら多くのクルマは止まる

 非常に大きい勢力の台風10号が日本列島に接近中の2024年8月26日、JAF(日本自動車連盟)が「アンダーパスや川沿い、海岸沿い、急傾斜地など、危険な場所には近づかない」と注意を呼び掛けました。

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豪雨の中を走るクルマのイメージ(画像:写真AC)。

 川沿いや海岸沿いは増水しており、危険であることがわかりますが、激しい雨の場合は、川などから離れたアンダーパスでも、路面が冠水する場合があります。

 集中豪雨などでアンダーパスが冠水した場合を想定してJAFが行ったテストによると、冠水路の水深が30cm以下であれば、30km/hでも走行できたそうですが、これが水深60cmの場合は、セダンはもちろんSUVでも不可能という結果が出ています。

 車両前方の通気口などから水が侵入すると、エンジンは止まってしまいます。JAFはエンジンルームなどに水を巻き上げないように、10km/h程度に速度を落とせば水深60cmでも走行できる可能性はあるとしていますが、水位が高くクルマが浮いてしまったり、排気管が水圧で塞がれてしまったりすることもあり「走りきれるとは限りません」と念を押しています。

 なお、JAFのテストでは浸水高30cmから120cmまでの状態で、車内に空気が残っている場合は、水深にかかわらず車外の水圧でドアが開かなくなるという結果も公開。専用のハンマーでサイドガラスを破壊して脱出するか、道具がない場合は、車内の浸水が進行し、水圧差が小さくなりドアを開けられるまで落ち着いて待つ必要があるとしています。

海水で水没したクルマには火災の恐れも!?

 さらに、JAFは海岸線で高潮による冠水被害を受けた車両に関しては火災の恐れもあることも発表しています。

 水に浸かっているのに、なぜ発火するかというと、海水に含まれる塩分が車内の電気配線などをショートさせ、その熱で発火するケースがあるからです。実際に2004年8月に香川県高松市に台風16号が上陸した際に、こうした発火事故が起きているということで、「海水が引いた後も、その塩分により、配線等の腐食が急速にすすむため、注意が必要です」と呼び掛けています。

 また、水害により冠水した車両は、キースイッチが切れた状態であっても、バッテリーが接続されていれば、つねに電流が流れている状態にあるとのこと。水が引いたとしても、いきなりエンジンキーやエンジンボタンを操作すると、漏電により火災が発生する危険もあるようです。

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