「Y」ナンバー」って何? “ひらがな以外”が使われるナンバープレートはレア? えっ事故ると厄介!?
平仮名1文字が使われるはずの部分に、アルファベットが使われているナンバープレートをつけたクルマを見かけることがあります。なかでも多いのが「Y」のナンバー。どのような意味があるのでしょうか。
希望ナンバーでも選べないはず…平仮名じゃない「Y」ナンバー
そもそもは単なる識別符号でしかない、しかし気になる人はとことん気にするのが、クルマのナンバープレートです。それにかける“こだわり”は、1998年に始まった「希望番号制度(希望ナンバー)」により、いっそう加速した感があります。
ところで希望ナンバーで選べるのは、ナンバープレートのいちばん大きな数字4桁、正式には「一連指定番号」と呼ばれる部分のみです。それ以外の「品川」「横浜」などの地域名、それに続く3桁の「分類番号」(アルファベット交じりもある)、さらに数字4桁の前に置かれる平仮名等は、法令等の定めにより決まったものが割り当てられ、希望の文字や数字を選ぶことはできません。
この平仮名等に割り当てられる文字は、事業用には「あいうえかきくけこを」が、自家用一般には「さすせそたちつてとなにぬねのはひふほまみむめもやゆらりるろ」が、自家用貸渡(レンタカー)用には「われ」が用意されています。
しかしこの平仮名の部分に「これら以外の文字」を見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。
その代表格が「Y」です。ふだん平仮名があるところがアルファベットとなり、「かっこいい」と感じた人がいるかもしれません。
じつは自家用には、上記の「自家用一般」「自家用貸渡」以外に、「日本国籍を有しない者が所有する自家用自動車で、法令の規定により関税又は消費税が免除されているもの及び別に国土交通大臣が指定するもの」という分類があり、それらのクルマには「EHKMTYよ」が割り当てられることになっています。
この「日本国籍を有しない者が所有する自家用自動車で、法令の規定により関税又は消費税が免除されているもの」というのはいかにも法律的な言い回しですが、よりわかりやすく言えば、日本に駐留しているアメリカ軍関係者のクルマのことです。
つまり「EHKMTYよ」は、アメリカの駐留軍人や軍属や、その家族が私有するクルマを示しているのです。ただ「Y」以外の「EHKMTよ」は、割り当ての対象となるクルマが少なく、ほとんど目にすることはありません。
「Y」ナンバー車の実際のトコロ
Yナンバーは、横田基地(東京都福生市など)や横須賀基地(神奈川県横須賀市)、三沢基地(青森県三沢市)、岩国基地(山口県岩国市)など、米軍基地の周辺で容易に見かけることができます。
そしてなかでももっとも多く見られるのが、県内各地に基地を抱え、国内でも最大規模の米軍が駐留する沖縄県です。
県内を南北に貫く主要ルートである国道58号は、沿道に嘉手納基地や普天間基地、さらには米軍の居住エリアが点在していることから、自分のクルマの前後左右を走るクルマがすべてYナンバーということもあるくらいです。
そうしたなかには、ごくごくノーマルのファミリーカーもありますが、とくに若者が乗っているクルマでは、日本車のスポーツカーをベースにした車高短やドリフト仕様も目立ちます。ときには映画「ワイルドスピード」さながらの凝った改造車もいます。このあたりは、日本車好きのアメリカ人の嗜好が感じとれるところです。
ただし、ここで注意しなくてはならないのは、もしYナンバーの車両がからむ交通事故に巻き込まれると、その解決が一般の交通事故に比べ、面倒になる可能性を含んでいるということです。
もっと激レアな「Aナンバー」とは?
Yナンバーは、登録時に自賠責保険への加入はもちろん、1997年に日米地位協定に基づく「SACO合意」により、任意保険への加入が義務づけられています。
また防衛省は、アメリカ軍人、軍属が公務執行中以外で起こした交通事故について、「原則として、加害者との間で示談により解決する」としながらも、もし加害者に資力がない、保険で解決できない場合には「日米地位協定に基づき合衆国政府が補償金を支払う」としています。
しかし実際には言葉の問題、さらには事故の当事者と連絡が付かなくなるなど、これまでYナンバーの車両が関連する事故でのトラブルがたびたび報道されています。
Yナンバーだから忌避すべきというわけではありませんが、すぐそばを走るときは、万一を考え、ふだん以上に注意を払ったほうがよさそうです。
なお「EHKMTYよ」が割り当てられるのは普通車、小型車などの登録車で、軽自動車については「AB」が用いられることになっています。ただ身体の大きな人が多いアメリカ人に軽自動車は向かないのか、こちらはややレアな存在です。
08/10 14:12
乗りものニュース