日伊の「最新ステルス戦闘機」青森にそろった! 共同開発中の次世代機についても

航空自衛隊と共同訓練を行うため、イタリア空軍の戦闘機が青森県の三沢基地に飛来しました。訓練のさなかには基地の格納庫において、トップクラスの指揮官による記者会見も開催。ハナシのなかには共同開発中の次世代機も出てきました。

今年はユーロファイターも参加

 航空自衛隊とイタリア空軍の共同訓練「ライジング・サン24」が2024年8月6日より、青森県の三沢基地で行われています。

 イタリア空軍の戦闘機が来日しての共同訓練は、すでに昨年(2023)年8月、石川県の小松基地で実施済みで、今回で2回目になります。

 このときは最新鋭のF-35A戦闘機が4機飛来しましたが、今年は同機だけでなく新顔ユーロファイター「タイフーン」戦闘機も加わり、機種、機数ともに増えたのが特徴です。

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三沢基地の格納庫内で行われた共同記者会見後に握手を交わす小笠原卓人航空幕僚副長(右)とアウレリオ・コラグランデ副参謀長(左)(吉川和篤撮影)。

 訓練拠点となる三沢基地は、航空自衛隊の戦闘機部隊である第3航空団のホームベースですが、同団はF-35Aを運用する部隊であることから、日伊両国の最新ステルス戦闘機が顔合わせしたことになります。そのため、F-35Aどうしの共同訓練が実現したといえ、日本よりF-35Aの配備が一足早かったイタリア側の知見も空自側に伝わったものと思われます。

 さらに昨年と同様、イタリア空軍のKC-767空中給油機・輸送機やG550 CAEW早期警戒機、C-130J輸送機なども来日しており、そのカウンターパートとして愛知県の小牧基地に所在する第1輸送航空隊のKC-767も共同訓練に参加していました。

アツく語られた日伊の絆

 7日には、三沢基地内の格納庫(ハンガー)において、航空自衛隊の小笠原卓人航空幕僚副長とイタリア空軍のアウレリオ・コラグランデ副参謀長による共同記者会見が行われました。なお、会見場の後方には、中央にユーロファイター「タイフーン」戦闘機を配置し、その左右に両国のF-35A戦闘機を置く形で、日伊の戦闘機3機が並べられていました。

 小笠原航空幕僚副長は来日を歓迎するとともに、部隊単位で地球の反対側から到着したイタリア空軍の飛行技術や到着後に報告された整備における粘り強いプロ意識を称賛。そして、インド太平洋地域における両国の協力体制と、永続する友好関係について述べました。

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会見場の後方に展示された両国の航空機。左からイタリア空軍のF-35A戦闘機とユーロファイター・タイフーン戦闘機、航空自衛隊のF-35A戦闘機(吉川和篤撮影)。

 今回の訓練に関しては、F-35A戦闘機やKC-767空中給油機・輸送機など、両国共通の装備を使用した訓練を行うことで、相互理解の促進や信頼関係の強化が図られるとし、今後のIFTS(国際フライトトレーニングスクール)への人員の派遣など、様々な協力体制にも言及していたのが印象的でした。

 一方、コラグランデ副参謀長は、母国から遠く離れた地でも展開して訓練を行った自軍の能力を鑑みて、改めて今後のインド太平洋地域での協力体制の発展を確信したと述べていました。また、現在イタリアと日本、イギリスの3か国で共同開発中の第6世代戦闘機にも触れ、実現した際にはさらに強固な関係になるであろうとも語っていました。

 こうした共同記者会見を見る限り、日伊共同訓練は来年以降も引き続き行われる可能性が高いのではと筆者(吉川和篤:軍事ライター/イラストレーター)は感じました。今回の日伊共同訓練は8日までですが、こうした訓練を繰り返すことで両国の絆は深まり、なおかつイタリア空軍の新たな一面が日本で見られるようになるかもしれません。

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