アメリカ軍「これからは北極だ!!」 国防総省が「北極戦略2024」発表 そこで盛り込まれた”従来方針の大転換”のワケ

いま、北極が”熱い”です

2019年以来初めての方針転換

 アメリカ国防総省は2024年7月22日、北極圏での軍事的な活動に関する戦略文書である「北極戦略2024(2024 DOD Arctic Strategy)」を公表しました。

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「ICEX 2011」にて、北極海で浮上したシーウルフ級原子力潜水艦「コネチカット」(画像:アメリカ海軍)。

 同戦略は、これまでもたびたびその内容が更新されてきましたが、今回は2019年以来となる大幅な方針転換が盛り込まれたといいます。名付けて「監視と対応(monitor-and-respond)」アプローチと称される新たな方針では、北極圏におけるアメリカ自身の能力向上はもちろん、同盟国や友好国との密な連携が重視されており、具体的には(1)北極圏における通信、情報収集、警戒監視、偵察能力の強化(2)北極圏における同盟国、友好国との連携強化、作戦活動に関する理解促進(3)北極圏における訓練の常態化などによるプレゼンスの向上が謳われています。

 今回の戦略について、北極およびグローバルレジリエンス担当国防次官補のアイリス・ファーガソン氏は「今回策定された戦略は非常に活動的であり、その点でこれまでの戦略とは区別される」としています。これほどまでにアメリカの北極戦略が転換した背景について、国防総省は気候変動による「北極海航路」の誕生や、そこにおけるロシアや中国の活動活発化、そして北極圏に位置するフィンランドとスウェーデンの「北大西洋条約機構(NATO)」加盟などの要因を挙げています。

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