現役自衛官も大興奮! 日本唯一の「激レア潜水部隊」とは? 海自“横須賀の祭り”へ突撃してきた

横須賀の中心部で開催された「よこすかYYのりものフェスタ」に、海上自衛隊大好き漫画家が突撃してきました。今回は、現役海上自衛官のエスコート付きだったそうですが、その「中の人」も興味津々だった模様です。

横須賀勤務の自衛官もよく知らない「レア部隊」

 毎年、横須賀で開催される「よこすかYYのりものフェスタ」は、JR東日本や京急電鉄などの鉄道会社や海上自衛隊、バスや消防車、パトカー、建築車両などが一同に集い、「のりもの」をテーマに横須賀を楽しもうというイベントです。

 今年(2024年)は海上自衛官の夫、やこさんが基地内の警戒員として配置(初日のみ)されたのですが、彼いわく「お客さんの目線も知ることで今後の改善に役立てたい」という真面目すぎる理由から、イベント2日目は休みを取って一般客として同行してくれることになりました。

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2024年の「よこすかYYのりものフェスタ」で見ることができた海上自衛隊の護衛艦。手前から「やはぎ」「くまの」「たかなみ」(たいらさおり撮影)。

 さっそく会場に入ると、すでに多くの観客で賑わっています。まず私(たいらさおり:漫画家/デザイナー)が向かったのは「潜水医学実験隊」のブース。潜水といえば去年のオータムフェスタで海中に潜む機雷を処理するマッチョ集団、水中処分隊のブースにお邪魔しましたが、やこさんいわく、こちらは遭難した潜水艦から隊員を救出する潜水技術を学ぶための養成施設なのだそう。通称「潜医隊」。同じ「潜る」でもいろんな任務・部隊があるのですね。

 任務にあたっている隊員からも説明を聞きましたが、潜水艦から救出するという任務ゆえに、かなりの深度に挑むそうで、潜水服ひとつとっても数種類を使い分けて潜水員の負担を軽くするのだそう。やこさんも「彼らは体力勝負の精鋭。常に鍛錬を怠らないんだ。俺たちも見習わなきゃね」と話していました。同じ海上自衛官同士でもリスペクトする関係が見えました。

 イベントでは艦艇の公開もあります。今回は護衛艦「もがみ」「てるづき」に加え潜水艦の公開もあり、どこも長蛇の列でしたが、私たちは「もがみ」の上甲板を見学してきました。

「てるづき」に掲げられていた粋な演出

 多機能護衛艦である「もがみ」に乗るのはやこさんも初めてだったようで、「中の人」ながら目を輝かせて見学していました。確かに普段、ほかの艦を見学する機会って、そうないですからね。海上自衛官だからといって、全部隊、あらゆる職種のことを知っているとは限りません。自分の勤め先の知らない部分をノリノリで見学する姿は、傍から見ていて楽しかったです。

「もがみ」の艦尾上甲板へと上がると、そこには発着艦指揮所というガラス張りの構造物がありました。その名の通り、ヘリコプターの発着艦を指揮するためのスペースで、その構造ゆえに夏場は中がかなり暑くなりそうですが、隊員さんいわく稼働中はエアコンが効いているそう。ところで「もがみ」の上甲板はヘリの格納庫に向かってゆるく傾斜しているのですが、排水溝も小さいので雨が降ったときはちょっと大変なのだとか。姉妹艦でも建造時期が若い艦ではフラットに寄っているようなので、その違いも気になるところです。

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横須賀地方総監部では、普段見られないものが数多く展示されていた。写真は陸上自衛隊の無線搬送装置(たいらさおり撮影)。

 ひと通り見たのち、乗艦記念に護朱印をもらって「もがみ」から退艦しました。対岸のY-1岸壁には、5月に就役したばかりの「やはぎ」も停泊していました。横須賀では初のお披露目となったので、艦内公開はなくても観客が多くいました

 次は「てるづき」の見学を……と思ったのですが、列が伸びており断念することに。がっくりと肩を落としていると、やこさんがぽつりと「ウェルカム」と呟くではありませんか。暑さにやられたのかと思いましたが、やこさんが見上げる方角に目をやると、「てるづき」のマストになにやら派手な旗が複数掲げられています。

 知らないと見過ごしてしまうカラフルな旗の数々。これは、国際信号旗による「ウェルカム」の文字です。

イベントに行ったら家に着くまで気を抜かない!

 実は、YYフェスタに限らず、海上自衛隊やアメリカ海軍のイベント時に、どこかしらの艦が気まぐれに揚げていることがあるのです。いわゆる「知る人ぞ知るファンサービス」といったところでしょうか。

 私は、イベントのたびにこの旗をニヤニヤ眺めてきたからか、テールランプ5回点滅の「アイシテル」のサイン並みに「ウェルカム」旗を解読できるようになってしまいました。

 海上自衛隊は信号旗といい艦艇の唐突なデコレーションといい、親近感のわく遊びが多いので見ていて飽きません。やこさんにそれを伝えると「来てくれた人が楽しかったと思えるように我々も工夫をこらしているんだよ」とのこと。今後、海自のイベントに行かれる場合は、ぜひこの「ウェルカム」旗を探してみてください。

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横須賀地方総監部の正門近くに置かれている錨のモニュメント(たいらさおり撮影)。

 というわけで、海自オタの私が「中の人」すなわち現職とイベントに行ったら、ほっこりとした時間を過ごせました。

 なお、横須賀地方総監部の入口には大きな錨のモニュメントがありますが、これをジャングルジムよろしくのぼってしまう子どもが結構いるようです。そのことは、警戒員に就く海自隊員らもわかっているようで、やこさんも「お子さんが登ったりしないよう気をつけて」と言っていました。

 遠足や社会科見学と同様、こういったイベントも家に帰るまで気を抜くことは許されません。怪我したり、事故にあったりしては楽しい思い出も台無しですからね。

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