「あのクルマ値札つけて走ってる!」が意思表示!? 車が売れる国の“習慣” ディーラーもダイナミックすぎる! オーナーは元力士

日本の大相撲で存在感を放つ数々の力士のふるさと、モンゴル・ウランバートルは自動車の売買も盛んです。同地で大盛況だったオートショーの会場となったのは、モンゴル出身力士の大先輩が築き上げた「クルマのデパート」でした。

プリウスからマイバッハ、ロシアの高級車アウルスまで

 モンゴル・ウランバートル市内で2024年5月31日~6月2日まで「ウランバートル・オートショー2024」が開催されました。日本でいうジャパンモビリティーショー的な位置づけのモーターショーですが、その会場を提供したのは、日本人が馴染み深い人物が率いる企業でした。

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ウランバートル・オートショー2024の会場となったホースモーターズ(画像:ホースモーターズ)。

 モンゴルといえば、見渡すばかりの大草原と遊牧民のゲルというステレオタイプのイメージが浮かびますが、豊富な地下資源に恵まれ富裕層が多い国でもあります。人口のほとんどが集中するウランバートル市の中心街には世界有数のブランドショップが立ち並び、超高級車が走る姿も目にします。さらに市民は移動手段を自動車に頼っているため、幹線道路の渋滞は「タイ・バンコクに匹敵する」と言われて、ナンバープレートの番号に応じた通行規制もあるほどです。

 そんな中で開催されたオートショーは今年で8年目。会場となったのは常時1000台の車両を展示する「ホースモーターズ」でした。日本のディーラーは販売チャンネルごとに立地していますが、ホースモーターはビルの各階ごとに異なる販売チャンネルがあります。

 同社ウェブサイトによると、地階はプリウス、アクア、クラウン、SAIなど日本の乗用車を幅広く販売。1階は吉利汽車(Geely)など中国ブランドのEVフロア、2階はレクサスやメルセデスなどの高級乗用車、3階はランドクルーザーや同プラド、レンジローバー、ハイラックスなどの四駆を扱うフロアになっています。

 さらに、オートショーの開催中は、モンゴルのような寒冷地で人気の高いジープ、ジムニー、フォード・ブロンコなどの販売展示がされたほか、メルセデス・マイバッハもありました。言語はモンゴル語ですがキリル文字を使いロシアとも関係が深いことから、プーチン大統領も乗るアウルス・セナートなどロシア製高級車も取り扱っています。

 ホースモーターズは“自動車のデパート”を自称します。まさにモンゴル屈指の巨大自動車販売店は、普及車から超高級車まで幅広く扱っているのです。

販売、ローン設定、ナンバー振出まで、すべてワンストップ!

 これだけ大規模で幅広い展示販売を行うホースモーターズとは、どんな会社なのでしょうか。

「日本の力士だった旭鷲山が実業家として展開するビジネスの一つです」。こう話すのは、旭鷲山関の現役時代から親交を持ち、オートショー開催直前に現地を訪れた元産経新聞記者の宮田 修氏です。

「旭鷲山はモンゴル帰国後、国会議員を一期務めて、その後は大統領や首相の補佐官を務めて政治家として知られていますが、今や実業家。資源開発を手がけるコンサルティング事業、ゼネコン、テレビ局をまとめる旭鷲山グループを率いています」(宮田氏)

 モンゴル帰国後の旭鷲山は、四股名をミドルネームにしたダヴァー・キョクシュウザン・バトバヤル氏として、今やモンゴルの大実業家として知られています。

 ホースモーターズの特徴は、単に自動車販売を大規模に手掛けているだけではありません。ビル内には銀行やノンバンク系の金融機関を選択して融資が受けられる窓口があるほか、売買契約の成立後に公証役所がナンバープレートを発行する窓口もあります。

「日本でいうワンストップサービス。これがホースモーターズだけで完結する。その気になれば、その日のうちに運転して帰ることもできるのが人気なんです」(宮田氏)

 ウランバートル市内では、リアガラスに中古車価格が表示された車両が走っていることがあります。これは現状渡しで走行中の車両を個人売買する意思表示で、自動車の売買が気軽に行われています。ホースモーターズは、こうした車両の委託販売も手がけて急成長しました。

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ホースモーターズ。モンゴルでは信頼のおける四駆がステイタスだ(宮田 修氏提供)。

 アジア開発銀行によると、モンゴルの経済成長率は2024年に4.1%、2025年に5%を予想しています。

「クルマを持っている人は、グレードアップするため委託販売に出して、新車を買おうとする。ホースモーターズはこうした委託販売も手掛けている。オートショーは、そうした売買を盛り上げる重要なイベントになっている」(前同)

 まさに馬を愛する民族のクルマ社会が、ここに集約されています。

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