生きてたよ… 絶滅危惧の「ロータリーエンジン」パトカー発見! 注目度バツグンだけどパトカーとしては致命的!?

いまや全国でも新潟県と埼玉県にしか残っていないマツダ「RX-7」の白黒パトカー。ロータリーターボ搭載の2ドアスポーツカーをベースにした希少な現役パトカー、四半世紀前の古い車体ながら、大人気の存在でした。

現役の「リトラクタブルライト+ロータリーターボ」

 新潟県警察の視閲式が2024年6月8日(土)に新潟市の県庁構内において開催されました。式典には警察官約250人、車両20台強、ヘリコプター2機などが参加していましたが、その中に全国的に希少となったマツダ「RX-7」パトカーの姿を見ることができました。

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2024年6月14日、新潟県警の視閲式に参加したRX-7パトカー(柘植優介撮影)。

 いわゆる「FD3Sセブン」と呼ばれるRX-7のパトカーが採用されたのは1997年のこと。高速道路などで交通取締に用いる「交通取締用四輪車(高速II型)」として国費調達(警察庁が一括購入し、必要な都道府県に割り振る導入方法)された同車は、その数わずか7台しかなかったものの、ロータリーエンジン搭載の2ドアクーペ、いわゆる「ピュアスポーツカー」であったことから、運用が始まるとたちまち注目を集めました。

 全長4.28m、全幅1.76m、全高1.23mというボディサイズは、高速走行時の安定性を追求したからこその、いわゆる「ワイド&ロー」な車体デザインといえるでしょう。

 駆動方式はFR(フロントエンジン・リアドライブ)で、エンジンは最高出力265馬力、最大トルク30.0kgmを発揮する「13B-REW」水冷ロータリーターボ(直列2ローター)を搭載しています。

 これにより圧倒的な加速力と高速性能を誇りましたが、パトカーとしての使い勝手は別でした。全高が低いため、ヘルメットをかぶった警察官が乗り降りするにはかなり厳しく、加えてホールド性を高めた形状のシートは、腰回りに様々な装具を付けた状態ではタイトすぎた模様です。

被疑者を乗せるのムリ!!

 またRX-7は、一応4名まで乗れるように後部座席も用意されているものの、限りなく“緊急用”に近いものであるため、ここに違反者や被疑者を乗せるのは厳しい状況でした。

 ほかにもトランクルームの狭さもパトカーとしては欠点だったようです。クラウンなどであればプラスチック製のパイロンや旗、発煙筒、三角表示板、消火器など様々な装備を積めますが、RX-7の場合はプラスチック製パイロンすら積載が難しいため、折り畳み式のものをいくつかと、発煙筒、消火器程度で、大きなものは軒並み積めません。

 こういった観点から、第一線で使われることは案外少なく、ほぼイベント用になっているとのこと。案内の警察官いわく走行距離は7万km台とのことでした。

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2024年6月14日、新潟県警の視閲式で行進するRX-7パトカー(柘植優介撮影)。

 2024年現在の所属先は県警の交通機動隊です。しかし、前述したように高速道路で使用することを想定した「交通取締用四輪車(高速II型)」として調達、配備されたため、当初は高速道路交通警察隊で運用されており、その名残ともいえるバグガードを今でもボンネット上部に付けています。

 なお、FD3S型のRX-7パトカーは、新潟以外に、宮城、群馬、栃木、埼玉、千葉、京都へ配備されましたが、2024年6月現在、現役なのは新潟県警と埼玉県警の2台だけです。

埼玉県警の車体と違うのはココ!

 とはいえ、新潟県警と埼玉県警の車体では見た目が微妙に異なっています。最大の相違点はルーフ上部の赤色回転灯で、前者では横筒一本形状のバー型なのに対して、後者の方は中央にラッパ型レーダーを搭載したものです。

 新潟県警も、当初は埼玉県警と同じくラッパ型レーダーを備えた赤色灯を搭載していました。しかし、その後撤去し、通常の赤色灯に換装したことでこのような差異が生じています。なお、新潟県警の車体は、積雪地の警察車両で見られる防雪カバーを装着しているため、その点も新潟ならではと言えるのかもしれません。

 ほかにも、新潟県警のRX-7には、車体後部のトランクリッド脇に自動車電話用アンテナに似た黒い棒状のアンテナ、いわゆる「TLアンテナ」が取り付けられています。これは現在の埼玉県警のRX-7にはない装備なので、それも特徴でしょう。

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2024年6月14日、新潟県警の視閲式で行進するRX-7パトカー(柘植優介撮影)。

 すでに運用開始から四半世紀が過ぎ、もうすぐ30年を迎えようとしている新潟県警のRX-7パトカー。ただ、スポーツカーベースのパトカーであるため、展示すればギャラリーの目を引きます。実際、冒頭に記した6月8日の新潟県警察の視閲式でも、式典終了後に警察車両の見学ができるよう「ふれあい広場」が開設されていましたが、展示されるや否や、記念撮影を希望する来場者で長蛇の列ができていました。

 このように、注目度は依然として抜群に高いため、交通安全のシンボルとして末永く元気に走り続けてもらいたいと、実車を見て改めて感じました。

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