西武の黄色い電車“動く聖地”に!「終末トレイン」どうやったら乗れる? ただ“目的地”には行きません!?

この春に放送が始ったアニメ『終末トレインどこへいく?』では、現役の西武鉄道の電車がメインメカとして登場しました。この車両を舞台にして物語が進むため、アニメファンから”動く聖地”として注目されています。

アニメで注目された黄色い車両

 2024(令和6)年4月から、『終末トレインどこへいく?』というアニメ作品のTV放送が、TOKYO MXやAT-X、KBS京都、サンテレビ、BS11などで始まりました。この作品は、漫画や小説の原作のないオリジナルアニメですが、放送前から鉄道ファンを中心にして話題となっていました。

 その理由は、初期に公開されたキュービジュアルに主要キャラ4人だけでなく、都民や埼玉県民ならば見慣れた「黄色い電車」も描かれていたからです。

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西武新宿線を走る ”動く聖地” の2463F(2463号車+2464号車)の2両編成。後方に8両編成の新2000系車両が連結されて、全部で10両編成となっている(吉川和篤撮影)。

 ストーリーは、ある事件をキッカケにディストピアな世界に変わってしまった後、主人公の「千倉静留(しずる)」たち女子高生&中学生4人組が友人を探して吾野駅から池袋駅まで西武池袋線を電車で上るという、一種のロードムービーです。そして彼女たちが運転するメインメカとして登場したのが、劇中では「アポジー」号と呼ばれる、実際に西武鉄道で運行されている黄色い2000系の通勤型電車でした。

 しかも、車両番号も架空ではなく、実在する2463Fという2463号車(クモハ)と2464号車(クハ)の2両編成が劇中で再現されています。現役で動いている電車が、世にも珍しい “動く聖地” になったのです。

 この、「西武線といえば」で、多くの人がイメージする黄色い2000系は、通勤時間帯の乗降時間を短縮する西武線初の両開き4枚扉の車両として、1977(昭和52)年に登場しました。1988(昭和63)年からはさらに降雪時対策として車体前部に排障器(スカート)を装備するなどした新2000系(2000N系)も登場。2024年現在も新旧合わせて250両以上の2000系が、現役で西武鉄道の各路線で走っています。

 そして劇中の2463Fは、ただ登場させるだけではなく、これらの車体の特性を強調した、リアルな発車や停車、急停車シーンやアクションシーンなどが描かれています。

終末トレイン 現在は池袋へ行けなかった!?

 今回アニメで再現された2463Fの2両編成車両は1990(平成4)年11月に製造された新2000系の中期製造車両で、当初は埼玉県の小手指車両基地をベースにしてアニメと同様に西武池袋線で運行していました。

 しかし2023(令和5)年4月からは南入曽車両基地の配属となり、西武新宿線や拝島線で運用されています。実はもう、このタイプの車両は池袋線には走っておらず、劇中で目指している池袋駅には行けないのです。

 さて、こうしてアニメで一躍有名になった2463Fにはどうしたら出会えるのでしょうか。現在、2463号車と2464号車の2両編成は、平日朝夕の通勤ラッシュ時の増援用として8両編成の2000系の先端に接続して走っています。しかし数多くの編成の中から、たった2両を探すのは至難の技と言えるでしょうか。そこであるアプリが効力を発揮します。

 それは、西武線アプリという西武鉄道が運営・管理する公式アプリで、ここの「列車位置」を西武新宿線に合わせてクリックすれば、2000系ならば黄色い電車のアイコンが現れて走行電車のリアルタイム位置情報が分かります。そして最近は2463Fが組み込まれた10両編成の上に小さいながらも黒い文字で「2463編成」と表示されるサービスが始まりました。

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最後方に連結された2463号車の運転台。運転手がいない状態なので、右側のブレーキハンドルは外されている。アニメでも前後の運転席を入れ替える際、静留たちはブレーキハンドルを抜いて移動した(吉川和篤撮影)。

 編成上、2463号車は西武新宿方の先頭車両として運用されています。アプリを使うなら西武新宿線の各駅でつかまえ易くなります。また時間に余裕があれば西武新宿~本川越間を往復して、編成前後や運転台の切り換えを見学する事が可能です。こうしたアプリを駆使して、一度は『終末トレインどこへいく?』の “動く聖地” に実際に乗ってみてはいかがでしょうか。

【動画】アニメで見たやつ! これが、実際に使われている2463Fです

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