かつての「松本~上田」最短ルートが劇的に変貌? 歴史の道「国道143号」改良進む そこは“鉄道王のふるさと”

バイパスが一部開通しました。

五島慶太も往来した? 松本~上田の最短路

 長野県松本建設事務所が松本市内で整備を進めていた、国道143号「会吉バイパス」が2023年12月25日に開通しました。

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開通した会吉バイパス(画像:長野県)。

 国道143号は、松本市と上田市を最短距離で結ぶ道路として明治期に整備された古い国道です。松本市・筑北村・青木村にまたがる山岳区間は狭く屈曲した峠道が続き、1890(明治23)年に築造された国道で現存最古という「明通トンネル」などがありますが、大型車が通行できないなどの課題を抱えています。

 結果として、国道254号「三才山トンネル」など、中信地域と東信地域を結ぶ周辺道路に取り残されることとなりました。

 今回開通した会吉バイパスは、そうした国道143号の峠区間の一部を解消する、松本市側1.36kmのバイパスです。長野県松本建設事務所は「さらに、筑北村、青木村までを結ぶ青木峠トンネルも早期の工事着手に向けて事業を進めてまいります」と強調しています。

 この青木峠トンネルこそがバイパスの“本丸”です。約11kmにおよぶ線形不良区間を一気に貫く4.3kmのバイパスとなる見込みで、すでに設計案もまとまっており、青木村では住民説明会も行われています。バイパスができると、青木峠区間の所要時間は25分から4分にまで短縮されるそうです。

 ちなみに、青木村は東急グループ中興の祖として知られ、「鉄道王」や「強盗慶太」などの異名を持つ五島慶太(1882~1959)の出身地で、村は2020年に五島慶太未来創造館を開設するなどしています。五島は上田中(現・上田高校)、旧制松本中(現・松本深志高校)を卒業しており、もしかしたら国道143号の峠を往来したかもしれません。

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