異形の新車両に「まさかの会社移籍」も!? 「色々ありすぎた」鉄道の"新車ニュース"で一年を振り返る

2023年は、例年に負けず劣らず「新しい鉄道車両」の話題にも事欠かない一年でした。

駅の話題だけでも豊富だった2023年

 2023年もまもなく終わりを迎えます。コロナ禍も明け、立て続けの新線開業や、新路線の整備計画など、鉄道ニュースが目白押しでしたが、例年に負けず劣らず「新しい鉄道車両」の話題にも事欠かない一年でした。

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大阪メトロ中央線で走り始めた400系電車(画像:写真AC)。

●「異形の新型車両」がデビュー

 3月にデビューしたのが、福井鉄道の新型低床車両「F2000形」(フクラムライナー)です。その造形は、今までにないレベルの「角張り」具合でファンを驚かせました。カラーリングは福井鉄道ならではの「青・緑・白」が採用されているものの、近年の低床車が欧州風味の丸みを帯びていただけに、そのギャップが話題となっています。

 もうひとつ、発表時点で全国をざわつかせたのが、大阪メトロ中央線の「400系」です。先頭形状は、他のいかなる電車とも似ても似つかない、まさに「唯一無二」のフォルムです。八角形に周囲の4つの小窓・4つのヘッドライトが配置され、中央線のアイデンティティである緑色はラインではなく、「八角形のフチ部分」に塗色されています。さらに大阪メトロでは初の「ボックスシート」も導入されています。

「麻雀の全自動卓」「カシオのGショック」「ベイブレード」など、色々なものに例えられた400系。「地下鉄を走っている光景が想像できない」とまで言われた異形すぎる電車が、6月ついに運行開始されました。

 2024年3月までに12編成が一挙投入予定で、いまや少し待てば出会えるようになっています。いざ実際の車両を見ると「意外とちゃんと電車してる」という様子で、大阪や生駒エリアの風景に溶け込んでいます。

 さらに、今年デビューを果たした「異形の新型特急車両」が、東武の「スペーシアX」です。1編成のなかでも車両ごとにちがうグレードや機能を備え、何度乗っても楽しめる仕掛けになっています。「X」のアイデンティティは窓枠の形に採用され、前身真っ白で流線形のフォルムは「リバティ」とも一線を画しています。

その他の新車も話題尽くし

 4月には、地震の影響で長期運休となっていた南阿蘇鉄道が全線運転再開。それとともにJR豊肥本線への直運転もはじまり、さらに新型気動車「MT-4000形」がデビューしました。

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8月に開業した宇都宮LRT「ライトライン」(画像:写真AC)。

 5月には、JR北海道で新型電車「737系」がデビュー。伝統の「白地に黄緑のアクセント」のイメージは残したまま、側面は淡いピンクをまとってファンを驚かせました。室蘭・苫小牧エリアは電化区間ですが、鈍行列車は気動車の「キハ143形」がトコトコ走っていました。それが最新電車に置き換わることで高速化が実現し、所要時間の短縮は最大17分にのぼります。

 7月には、JR西日本の岡山・備後エリアに「227系」が導入。車両が旧態依然としていた山陽方面は、広島エリアが227系「レッドウィング」によって脱皮を果たしていました。今回は、その波が岡山地区にもやってきた形。227系500番台「うらら」として、独自の「淡いピンク色」をまとっています。

 8月には、大阪の泉北高速鉄道に新型車両「9300系」がデビュー。南海の8300系を受け継いだ設計です。

 さらに同月、宇都宮ライトレール「ライトライン」が開業し、低床車両「HU300形」が走り始めました。都心部から鬼怒川周辺の田園地帯、荒涼な工業団地など、目まぐるしく景色が変わるなかを、雷が多い宇都宮にちなみ雷光を表現したという黄色と黒の3両編成が走っています。

 JR首都圏では、2つの電車の導入が鉄道界を沸かせました。南武線(浜川崎支線)の「E127系」と、鶴見線の「E131系」です。共通するのは、地方ローカル線の車両が、東京付近へやって来たということ。E127系は、新潟エリアだけで走っていた0番台が、引退後まさかの「上京」した形で。E131系は、日光線や房総方面、相模線などへ導入が進んでいました。

「まさかあの会社に移籍!?」が連発した2023年

 新型車両だけでなく、「別の会社への車両移籍」のニュースも話題になりました。

 まずは、JR東海の特急車両として親しまれてきた「キハ85系」が引退したあと、近畿北部の日本海側を走る「京都丹後鉄道」へ譲渡されたこと。「KTR8500形」として、まずは今の特急の予備車の役割につくとしています。

 9月には、「東急と小田急の中古車が、西武へ譲渡される」というニュースが飛び込んできました。ローカル線への車両譲渡はよくあるものの、大手私鉄が大手私鉄の中古車を導入するというのは異例のことです。移籍予定の車両は、おもに東急大井町線で走る「9000系」と、小田急の主力車両「8000形」です。

 さらに11月には、東京メトロ日比谷線で走っていた「03系」が、群馬県の上毛電鉄へ譲渡されることが発表。同車両はすでに熊本電気鉄道、長野電鉄、北陸鉄道で「第二の人生」を送っていて、「あの東京の地下鉄車両にまた出会える」という機会が、さらに増えそうです。

 南海の22000系は8月、銚子電鉄へ譲渡されています。同車両の譲渡は、熊本電気鉄道に次ぐ2例目です。

 ほかにも、関西の新快速の有料座席指定車両「Aシート」が、223系だけでなく225系でも登場。成田エクスプレスに使われるE259系は、車体ロゴを「N'EX」から「E259」に変更し、房総など他線区でも活躍できる準備を整えています。

 その他新車両ニュースとしては、九州で久大本線方面に、新観光列車をデビューさせることが発表。名称も「かんぱち・いちろく」と決定しました。JR東海は、特急「しなの」の383系の置き換えとして、「385系」を導入することを発表しました。他にも新型車両の導入発表は目白押しで、りんかい線は「71-000形」、阪急は「2300系・2000系」、伊予鉄は「7000系」、福岡市営地下鉄は空港線・箱崎専用の「4000系」を発表しています。

 北陸本線から移管となる第三セクター「ハピラインふくい」では、JRの521系を「ピンク&黄緑」にカラー変更したビジュアルが公開されています。特急「やくも」に導入される「273系」や仙台市営地下鉄「3000系」は、ついに実車が試運転などで走り始めました。

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