「全てが特別」屈指の豪華特急がデビュー 沿線地域をここまで変えた! 2023年注目の車両

2023年、私鉄特急では東武鉄道に新たなフラッグシップ車両「スペーシアX」が登場。評価も高く、更なる活躍が期待されます。

東武のフラッグシップ特急「スペーシアX」が登場

 2023年もまもなく終わりを迎えます。鉄道業界では、相鉄・東急直通線や宇都宮ライトレールの開業など、多くの動きがありました。私鉄特急では東武鉄道に新たなフラッグシップ車両「スペーシアX」が登場。好調な利用が続いており、沿線への波及効果もあるようです。

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N100系「スペーシアX」(乗りものニュース編集部撮影)。

「スペーシアX」は、東武鉄道では1990年に登場した旧「スペーシア」に続く約33年ぶりのフラッグシップ車両として、2023年7月15日(土)から浅草~東武日光・鬼怒川温泉間で運行を開始しています。

 車内は、国内で最多となる6種類もの座席を備えていることが特徴。私鉄最大級の個室「コックピットスイート」やカフェが併設された「コックピットラウンジ」、2人での利用に便利な「ボックスシート」など、様々な形態の座席を備えています。
 
 定員は212人で、旧スペーシアの現行の288人から大幅に減少。定員が減少した分、車内の快適性を高めています。特急専用の制服を着用した、春日部乗務管区に所属する選りすぐりの乗務員が「スペーシアX」を担当しています。
 
 全国的に車内販売が縮小する中、カフェメニューも充実しており、沿線の事業者と共同開発したコーヒー、ビール、スイーツ類などを楽しむことができます。
  
 運行開始にあたっては、浅草駅や東武日光駅がリニューアルされ、浅草駅の5番線に関しては「スペーシアX」専用となるなど、同社の特急の中でも「特別扱い」となっています。

「スペーシアX」の運行に合わせ、東武鉄道が子会社化した日光の「金谷ホテル」は別館をリニューアル。沿線老舗ホテルも生まれ変わる形になりました。「スペーシアX」は、単なる旧スペーシアの後継車両ではなく、沿線を活性化させる役割も担っています。

単なる新型車両じゃない「スペーシアX」の効果とは?

 東武鉄道によると、運行開始後はおおむね満席状態が続いているそう。リピーターも多く、利用者からは「次は別のシートに乗って旅をしたい」「全てのシートを体験したい」という声が多数寄せられているといいます。「スペーシアX」の乗車と、リッツカールトン日光や金谷ホテルといった同社系列のホテルを組み合わせた旅行商品の売れ行きも好調で、手応えは上々のようです。
 
 また、日光エリアを拠点とする東武バス日光や明知平ロープウェイと連携して「スペーシアX」を盛り上げる取り組みにより、今後も相乗効果が期待できるとしています。

 現在、「スペーシアX」は2編成しかなく、1日最大4往復の運行にとどまっています。特急券の予約が取りにくい状況が続いていますが、2024年春のダイヤ改正に向けて2編成が増備され、1日6往復に増える予定です。
 
 2024年春のダイヤ改正に合わせ、料金の改定も実施されます。1名用の「コックピットラウンジ」は300円増しの500円になるほか、最上級個室の「コックピットスイート(7名定員)」は、5820円増しの1万8000円となります。なお、運賃と特急料金(スタンダードシート・プレミアムシート)およびボックスシートの座席料金改定はありません。

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