自転車に「青切符」導入へ 実際どんなときに取り締まられる? 中学生も「警告」だけじゃない!

自転車の新たな違反取締りの概要が明らかになりました。その大きな柱が、クルマなどと同じ反則金を伴う「青切符」の導入ですが、運転者の年齢により対応が異なります。違反取締りはどう変わるのでしょうか。

違反の摘発にはメリハリ 15歳以下は赤切符を残す

 警察庁が開催する有識者検討会で「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」が作成され、2023年12月21日に国家公安委員会へ提出されました。交通反則通告制度が導入されるなど、自転車の新たな交通ルールの概要が明らかに。これを受けて、警察庁は来年度の通常国会での成立に向けて道路交通法の改正などに着手します。
 
 交通反則通告制度は、いわゆる「青切符」と呼ばれるものです。これにより取締りはどう変わるのでしょうか。

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自転車の違反に青切符が導入され、取締りが抜本的に変わる見込み。写真はイメージ(madrabothair/123RF)。

 自転車利用が盛り上がりを見せるなか、自転車関連の事故の主な要因も明らかになってきています。「信号無視」と「指定場所一時不停止」だけで、事故全体の70%を占める状況から、交通ルールを守ることで事故を回避できることが明確になってきました。

 これまで自転車の違反取締りは、「警告」か「赤切符」の二択でした。警告の場合は注意だけ。赤切符になると、いきなり裁判を経て有罪であれば前科が付くという両極端です。この中間にある、悪質性・危険性はさほど高くないものの交通違反として認識を持つべき違反について、自転車の運転者をどう指導するかが課題でした。

 自転車の違反に青切符(交通反則通告制度)を導入する提言を盛り込んだ中間報告書は、そんな状況を改善すべく取りまとめられました。ポイントは3つです。

・制度の対象年齢は16歳以上とする。
・反則行為となる信号無視、指定場所一時不停止、通行区分違反(右側通行、歩道通行等)などについては、特に悪質かつ危険性の高い違反態様に限って青切符による取締りを行う。
・酒気帯び運転、妨害運転、携帯電話使用など反社会性、危険性の高い違反行為は反則行為に含めない。

 自転車は未就学児から高齢者まで、幅広い年齢層で多目的に利用されます。有識者検討会では海外の規制なども参考に、16歳以上であれば、個人差なく一定程度の交通ルールを理解していると判断しました。

 他方、13歳以下は刑事責任を問われないため「指導警告の充実による教育的措置が必要」(報告書)とし、その間にある14~15歳については、交通ルールの理解に個人差があり、違反の状況に応じて対応することから、今までと同じ赤切符が残されます。

どんな違反が青切符に?

 青切符の導入は、刑事責任を問われることなく、反則金の納付で決着するので、利用者の負担を減らしながら、交通ルール順守につながると期待されています。一方で、道路環境や交通ルールは、身近で気軽に利用できるパーソナルモビリティに近づくほどルールの解釈が複雑で、意図しない違反を招くことがあります。

 青切符で取り上げられる交通違反は、警察官が「現認可能な定型的な違反行為」です。ただ、その数は150種類あり、歩道徐行等義務違反のように自転車固有の反則行為は5種類です。実際の取締りについても、報告書は触れています。

《具体的には、自転車指導啓発重点地区・路線(=自転車関連事故が現に発生し、または発生が懸念される地区・路線)を中心に、交通事故の原因となるような悪質性・危険性・迷惑性の高い違反行為について、重点的な取締りを行う》

 また、こうした反則行為を警察官がみつけた場合、次のような場面で青切符による取締りを行うとしています。

・警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合。
・通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせた場合。
・交通事故に直結する危険運転行為をした場合。

 これ以外の場合には、違反者に将来の運転行動の改善を促す指導警告に留める、としています。

 一方、蛇行運転で後続車両の行く手を阻む行為や、故意に衝突するような妨害運転、酒気帯び運転などは、従来どおりの赤切符が適用される見込みです。

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