超早朝「品川4:35発」熱海行きの人間模様 東京駅発より早い列車 西への乗り継ぎどう変わる?

「青春18きっぷ」を使い東京駅からJR東海道線で西を目指す際、始発列車は5時20分発ですが、品川発なら4時35分の熱海行き普通列車があります。この列車、利用したらどのようなメリットがあるのでしょうか。

品川駅で徹夜

 東京駅を出発するJR東海道本線の普通列車は2023年12月現在、始発が5時20分発です。「青春18きっぷ」の記事ではよく、この列車に乗車することを前提に「その日の内に四辻駅(山口県山口市)まで行ける」といった紹介がなされます。

 しかし、品川駅発ならば、それよりも早い4時35分発の熱海行きの列車があります。「青春18きっぷ」は午前0時から有効なので、東京0時46分発の最終のJR山手線に乗って品川駅に0時59分に着き、いったん改札の外に出て、始発を待つといったこともできます

 実際にこの列車に乗り熱海より遠方に向かった場合はどうなるのか、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は2023年8月の平日、実行してみました。

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4時35分発 普通列車の熱海行き(2023年8月、安藤昌季撮影)。

 まずは東京発0時46分の山手線に乗車します。さすがにこの時間の東京駅は人がほとんどおらず、山手線内もガラ空きです。「人がまったくいない山手線」を見ることは通常ないので、ある種の感動を覚えます。

 品川0時59分着。全ての列車が終了すると、駅の列車表示器は「JR」表示になるので、また珍しいものが見られて楽しいです。

 改札口を出ると、すぐシャッターが閉まります。品川駅周辺には残念ながら24時間営業のファミレスなどはありませんが、港南口には、立ち食いソバ屋と牛丼屋、カラオケボックスがありますので、時間は潰せます。

 4時10分ごろシャッターが開き、駅外の床でごろ寝していた利用客が構内に入って行きます。4時35分発の熱海行きは4時24分に入線し、10番線から出発します。9番線には、4時30分発の横須賀線久里浜行きが4時19分に入線し、東海道線と横須賀線の並びという、この時間ならではの珍しい光景も見られます。

関東圏の通勤ラッシュは早い

 熱海行きを待つ乗客は20~30人ほど。筆者は大阪方面を目指すため、体力温存ということでグリーン車に乗車しました。東京5時20分発の列車に乗った時は、早朝でもシーズン時はグリーン車がほぼ満席でしたが、今回の品川4時35分発は誰も乗って来ず、自由に席を選べます。

 8月とはいえまだ外は暗く、夜行列車の雰囲気です。出発直後から空がわずかに明るくなり、寝台特急でまどろみながら朝を迎える感覚を思い出します。

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乗り継ぎ大阪まで向かうので、体力温存ということでグリーン車へ(2023年8月、安藤昌季撮影)。

 最初の停車駅、川崎を目指します。ダイヤは詰まっていないはずですが、90km/h程度に速度を抑えて走ります。4時45分川崎着。ホームでは40人ほどの乗客が待っていました。関東圏の輸送需要がいかに大きいか実感します。

 次の停車駅は4時54分着の横浜駅。60人ほど乗車し、もはや早朝始発列車感は感じられません。5時5分着の戸塚駅では20人ほどが乗車します。ちなみに、品川で先発した横須賀線がやや遅れて到着しますので、乗り換えることもできます。しばらく横須賀線と並走します。

 5時10分大船駅着。70人ほどが乗車します。周囲はすでに明るくなり、日常の東海道本線のような雰囲気に。ただ、グリーン車はガラ空きのままでした。5時15分着の藤沢駅では70~80人ほどが乗ってきて、車窓から見た小田急江ノ島線の新宿行きは、座席がかなり埋まっていました。

 辻堂駅着は5時18分。ここでも60人ほどが乗車します。5時22分茅ケ崎駅着。30人ほど乗車します。東京方面の上り列車にはすでに多くの乗客がおり、座席は全て埋まっているようでした。

 5時31分平塚駅着。早朝ですが、ここで4分停車します。30人ほどが乗車しました。5時35分大磯駅着。15名ほどが乗車します。5時40分二宮駅着。ここでも15名ほどの乗車です。

もし東京5:20発にしていたら、どうなっていた?

 国府津駅の近くに来ると海も見え始め、ようやく郊外を実感します。到着は5時45分。5人ほどが乗車します。車窓右手に富士山も見え始めます。

 5時48分鴨宮駅着。50人ほどの乗車があり、需要の多さに驚きます。5時52分小田原駅着。20人ほどが乗車しました。恐らく下車もあると思われますが、停車時間が短いため確認は困難でした。5時55分早川駅着。5名が乗車します。6時ちょうどの根府川駅到着直前に、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」とすれ違いました。根府川駅では1人が乗車します。

 6時5分着の真鶴駅では13人ほどが乗車。最後の停車駅である湯河原には6時9分着。ここでは20人が乗車し、終点の熱海駅には6時16分の到着です。

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平日限定で特急用車両にて運行される「ホームライナー静岡1号」。沼津6時54分発(安藤昌季撮影)。

 さらに西を目指すので、熱海駅で6時18分発の普通 島田行きに乗り換えます。快適に行きたいなら、そのまま終点の沼津駅まで乗り続け、6時54分発の快速「ホームライナー静岡1号」に乗車するとよいでしょう。330円のライナー券が必要ですが、特急形車両373系は快適で、静岡駅には7時37分に到着できます。東京5時20分発の列車だと8時29分着なので、1時間近く早く着けるのです。

 島田行きの普通列車に乗り継ぐと、浜松駅着は9時1分。10分発の普通列車で豊橋9時47分着と乗り継ぎ、豊橋9時50分発の新快速で大垣駅へ向かいます。到着は11時18分。11時42分発に乗り換え米原12時17分着。ここで12時50分発の新快速を利用すれば、京都13時45分、大阪14時15分着です。ちなみに、東京5時20分発でも12時50分発の新快速に間に合うので、メリットがあるのは米原駅までです。

 ただ、上述の通り各駅での接続が悪いので、静岡~掛川間の1駅だけ新幹線「こだま」を使うと、大阪駅着を13時15分にできます。この効果は西日本でも発揮され、最終的には九州の門司0時2分着と九州入りが可能となるのです。

※一部修正しました(12月11日17時35分)。

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