空港内に滝、プール、映画館… シンガポール・チャンギ空港がエンタメに全振り!になったもっともな理由

シンガポールの空の玄関口、チャンギ国際空港は、あらゆる意味で空港のイメージを覆すさまざまな施設があることで知られています。そこには同空港の特殊性がありました。

空港内の複合施設には“世界最大・最も高い屋内滝”

 シンガポールの空の玄関口、チャンギ国際空港。東南アジアが誇る超巨大空港であるここは、あらゆる意味で空港のイメージを覆すさまざまな施設があることで知られています。今回、チャンギ空港を巡ることができました。

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チャンギ国際空港(チャンギ国際空港の公式Facebookより)。

 チャンギ空港は同国の東部、シンガポール都心部から鉄道(MRT)で30分ほどの場所に位置します。ターミナルは現在4つ。第1・第2・第3がつながっており、それらは、モノレールのような車両「スカイトレイン」で移動する形を取ります。一方、第4ターミナルは離れた場所に位置しています。

 そして第1・第2・第3のターミナルに囲まれるような場所にあるのが、2019年にオープンした複合施設「ジュエル(JEWEL)」です。第1ターミナルの到着口からは、直結で行き来できます。自然をイメージしたその館内には、世界的な有名ブランドや地元のアートショップ、レストランが多数出店。現地の料理店はもちろん、日本の牛丼チェーン「すき家」もあります。空港内に、日本の大型商業施設とテーマパークが合体した施設があるようなイメージです。

 その「ジュエル」のトレードマークは“世界最大・最も高い屋内滝”として知られる「レイン・ボルテックス」です。高さ約40mで、第2~第3ターミナル感を結ぶ「スカイトレイン」の線路が、滝のすぐ近くに設置されています(2022年10月時点で第2~第3間は運休中)。また、夜には、「レイン・ボルテックス」を音楽に合わせ光らせるショーなども開催されます。

 いまや、チャンギ空港の新たなシンボルとなっている「ジュエル」ですが、この空港はターミナルのなかも、日本では考えられないようなユニークな施設が目白押しです。

ターミナル本館も凄すぎる…でもなぜ?

 たとえばチャンギ空港の第2、第3ターミナルの制限エリアには、原則24時間営業の無料で入れる映画館が設置されています(2022年11月現在は第3のみ営業中)。また第3ターミナルには、「世界一高いすべり台」として知られる「ザ・スライド(THE SLIDE)」も設置されています(取材時はメンテナンスのため一時閉鎖中)。

 また、第1ターミナルの最上階にあるのは、なんとジャグジー付きプール。利用料は一人あたり20シンガポールドル(約2100円)で、ジャグジー、プールサイド・バー、タオル、シャワー設備が備わります。このほか、同空港には無料休憩所や子供むけのプレイエリアなどが設置されているとのこと。公園なども設置されており、そこは空港ではなく、ひとつの都市のようになっています。

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チャンギ空港第3ターミナル(松 稔生撮影)。

 チャンギ空港がここまでエンターテイメント性の高いテーマパーク空港となったのは、この空港ならでは特殊性が関係しているとされています。チャンギ空港は世界でトップクラスに、乗り継ぎ需要が高い空港なのです。

 そのため「ジュエル」は24時間営業とし、乗り継ぎでの渡航者が空港内、もしくは空港から徒歩圏内で時間を過ごせるようになっています。ターミナル内の映画館なども同様です。

 こういった取り組みもあり、チャンギ空港は乗り継ぎ空港として世界的にも高い評価をうけており、国際的な機関からの表彰歴などもあります。また、今後同空港は、5つ目のターミナルビルも建設予定。これからもシンガポール発着客はもちろん、世界の「乗り継ぎ旅客のための玄関口」として、一層の施設のパワーアップが見られそうです。

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