74式戦車ズラリ 7年ぶりの「中部方面隊戦車射撃競技会」ほぼアナログ戦車“最後の競演”か

琵琶湖のほとり滋賀県高島市にあるあいば野演習場。ここに3個戦車部隊が集まって戦車射撃競技会が開催されました。これだけ74式戦車が一堂に会するのは来年度以降難しいそう。事実上最後になりそうな射撃大会を取材しました。

玄人好みの戦車射撃競技会

 滋賀県にある陸上自衛隊あいば野演習場において2022年7月12日(火)、中部方面隊戦車射撃競技会が行われました。

 あいばの演習場に集結したのは、中部方面隊隷下の第3師団第3戦車大隊(今津駐屯地)、第10師団第10戦車大隊(今津駐屯地)、第13旅団第13戦車中隊(日本原駐屯地)の3個部隊から選抜された5個小隊20両、総勢80名。なお、このなかには5名の女性自衛官も含まれていました。

 この戦車射撃競技会は、過去4回実施されており、今回は2015(平成27)年に次いで5回目になるそう。実に7年ぶりの開催になるそうですが、注目すべきは、なんといっても全部隊が74式戦車を運用しているという点です。

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滋賀県高島市にある今津駐屯地に所在する第3戦車大隊の74式戦車。この部隊は2023年3月付けで廃止される予定(武若雅哉撮影)。

 74式戦車は、戦後初の国産戦車である61式戦車の後継として誕生した戦後第2世代の戦車です。すでに導入から50年近くが経過しているものの、いまだに第一線で運用されています。

 陸上自衛隊には、より新しい90式戦車や10式戦車がありますが、それらは射撃や装填動作がコンピューターや機械によって大幅に自動化されているのに対し、74式戦車はそのほとんどがアナログです。

 たとえば砲弾の装填は、90式戦車や10式戦車は自動装填装置の搭載によってボタンひとつで行えるようになっているのに対し、74式戦車は装填手の人力によって行います。

 目標追尾も、90式戦車や10式戦車はコンピューターでロックオンすれば、自動で行ってくれるのに対し、74式戦車では砲手の目測によって目標の動きを予想しながら行うことが求められます。

 ゆえに、乗員の練度の差が大きく成績にも反映されることから、各部隊とも頂点を極めようと激しく競い合っていました。

次回開催は「機動戦闘車射撃競技会」か?

 そんな74式戦車ですが、近々完全退役を迎えようとしています。本州の戦車部隊は教育部隊を除くと全廃されることが決まっており、すでに中部方面隊の第14旅団は、以前こそ74式戦車を運用していたものの、第3師団、第10師団、第13旅団に先駆けて、新型の16式機動戦闘車を導入したことで戦車の運用を終えています。また、第3師団第3戦車大隊も2023年3月には戦車の運用を終える予定であり、第10師団や第13旅団も近年中に戦車部隊が廃止される予定です。

 他の方面隊に目を転じてみても、2022年7月現在、まとまった数の74式戦車を運用しているのは、北海道の第2師団と、岩手県の第9師団だけですが、前者は90式戦車と10式戦車の運用部隊になり、後者は廃止されることが決まっています。

 そのため、3個以上の74式戦車部隊が集結して戦車射撃競技会を行うのは、事実上これが最後といえるでしょう。

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前方の的へ向け戦車砲の射撃を行う74式戦車(武若雅哉撮影)。

 なお、競技会は4両で1個小隊を組み、前方に設置された的に向けて戦車砲と連装銃(機関銃)の両方を射撃するという方式です。的への距離は最大2km、その中には移動目標も用意されていました。

 特有の甲高い金属音を響かせながら射場へと向かう74式戦車。後方では万が一の事故の際に駆けつける78式戦車回収車も見守るなか、最終的に第3戦車大隊第1中隊第1小隊が優勝を手にしていました。

 ちなみに、今回の射撃競技会には前出の第14旅団からオープン参加という形で16式機動戦闘車2個小隊8両も参加していました。今後、74式戦車は減る一方なのに対し、逆に16式機動戦闘車は配備部隊を増やす予定です。今津駐屯地にも配備されるようであり、もしかしたら数年後は、16式機動戦闘車の部隊が一堂に会した「中部方面隊機動戦闘車射撃競技会」が行われているかもしれません。

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