豊洲市場でも活躍 走るドラム缶「ターレ」 正体はハイスペックな乗り物!?

築地市場から移転した豊洲市場でも、3輪の小型運搬自動車が走り回っています。このクルマは「ターレ」と呼ばれるもので、慌ただしい市場で力を発揮できるいくつかの長所があります。

60年以上前から市場で活躍するターレ

 東京都江東区の豊洲市場では、3輪の小型運搬自動車が場内を縦横無尽に走り回っています。これはターレットトラック、通称「ターレ」と呼ばれるクルマです。

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公道ではまず目にする機会のないターレットトラック(画像:写真AC)。

 ターレは、たる状の車体に駆動装置を収め、後ろに荷台がついた3輪自動車で、全長3m、幅1mほどで、重さは1tもありません。それでいながら荷物は1~2tまで積み込むことができ、車体の上部についた円形のハンドルは前方の駆動輪に直結しているため、その場で回転できるなど、小回りが利くのが持ち味です。

 重量のあるユニットごと回して操縦するため取り回しが重く、最高でも時速15km程度しか出すことができません。しかし多くの人や物が行き交う市場内を、小回りを活かして器用にすり抜けていきます。

大活躍のターレ、最初は嫌われ者だった?

 日本の市場にターレが初めて導入されたのは、今から65年前の1956(昭和31)年、豊洲市場の前身である築地市場でした。それまで生鮮品の運搬には主に手押し車が使われていたため、当初ターレは市場の人々から「音がうるさい」「市場内を運転するのは危険」などの理由から敬遠されていたそうです。しかし、先述のような機動性から徐々に普及し、1990年代頃にはターレが築地市場における運搬の主力を担うようになりました。

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築地市場で活躍していたターレットトラック(画像:写真AC)。

 長い活躍とともに大きく変わった部分が「燃料」です。長年、ターレの燃料にはガソリンが使われていました。しかし、生鮮食品を取り扱う築地市場では「多量の排ガスやチリが発生するのは良くないのでは」という懸念の声が上がるようになり、2000年代からは電動ターレが築地市場に導入され始めました。

 電動ターレの導入当初は「充電が面倒」といった声やパワー不足、充電スタンド用のスペース確保など課題がありましたが、2018年に築地から豊洲への移転の際、充電スペースを広く確保することができたため、一挙2100台の電動ターレが導入、全電動化が実現しています。

市場の外でも活躍中

 豊洲市場を走り回るターレですが、他にも公共施設などを中心に使用されています。

 例えば空港では、ベビーカーやスキー板など大型の荷物の運搬を担当しているほか、駅では、新幹線から出る大量のごみを積み込み、集積所まで運ぶ際に使われています。多くの人が行き交うこれらの場所では、クルマと人との接触を防止するため、走行中にブザーやメロディが流れることが多いです。

 また意外なところでは、陸上競技場の砲丸やハンマーなど重い競技道具の運搬、福祉施設での入所者の食事搬送などに使われている例もあります。

 なおターレは「小型特殊自動車」に属しているため、公道を走行する際は普通免許のみで運転ができます。ただしその際は、別途バックミラーやウインカー、ナンバープレートを装着する必要があります。ちなみに、1台のお値段は150万円前後だそうです。

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