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いまや空飛ぶ骨董品 1機の「ダグラスDC-8」が“救世主”に!? 機齢51年、胸熱の「再就職」

ジェット旅客機草創期の旅客機ダグラスDC-8は、デビューから60年以上たった現在、現役のものはごく少数です。ただ、そのうち1機は「ピンチを救うヒーロー」としていまも現役。どういった経緯を持つ機体なのでしょうか。

JALでは初のジェット旅客機に…

 ジェット旅客機草創期に、アメリカにかつてあった大手航空機メーカー、ダグラス・エアクラフト社(現ボーイング社)が初めて世に出したジェット旅客機が「DC-8」です。航空会社でデビューしたのは1959(昭和34)年で、いわゆるボーイング初のジェット旅客機「707」などと同じ、「第1世代」のジェット機にあたります。

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「サマリタンズ・パース」のDC-8(画像:NASA Photo/Lauren Hughes)。

 DC-8はいくつものタイプが製造されたものの、シリーズを通して、4発エンジンを搭載していることや、ひと際細いスリムな胴体を持っていることが特徴です。その儚げともいえる姿から、DC-8を主力機のひとつとしていたJAL(日本航空)では、同モデルに「空の貴婦人」というニックネームがつけられました。ちなみに、JALが初めてDC-8を導入したのは1960(昭和35)年で、これは同社が初めて導入したジェット旅客機。「ジャンボ」ことボーイング747が導入されるまでのフラッグシップでした。

 ただ、2021年現在、双発機が世界中の空で主力となっているなか、DC-8のほとんどがその役目を終えています。先述のJALでも、1988(昭和63)年に退役済みです。ところが、そのなかには「ピンチを救うヒーロー」として“転生”した機体が存在します。

「救世主」となったDC-8のプロフィール

 2015(平成27)年、1機の飛行機がデビューしました。その運航主は、福音派のキリスト教徒が運営するアメリカの慈善団体「サマリタンズ・パース」です。そして、この機体は、製造番号「46013」、1969(昭和44)年にフィンランドのフィンエアーでデビューした、DC-8だったのです。

 同団体によると、このDC-8は「貨客混載型」となり「最大8万4000ポンドの貨物と32人の乗客を運べるよう構成されている」とのこと。そして、同団体では、自然災害、戦争、飢饉といった緊急事態時、犠牲者を支援するために医療スタッフの派遣や、支援物資の輸送を実施しています。このいわゆる「ピンチ」の時、このDC-8は、人や物資を輸送するために投入されるという、一風変わった「余生」を送っているのです。

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NASAで「飛行科学研究所」として改修されたDC-8(画像:NASA/ Tom Tschida)。

 2020年の救援ミッションは14回とのことで、同年8月に爆発事故が発生したレバノンを初めとして、新型コロナウイルス感染拡大で医療体制がひっ迫するカリブ諸島のバハマへは、同団体が野戦病院を配備。その医療スタッフは物資とともに、このDC-8で乗り入れするなど、世界を混乱の渦に巻き込んだ「コロナ禍」への対応も見られます。

 2021年1月には、コロナ禍に対応するべくロサンゼルスへ物資輸送を実施。この時、NASA(アメリカ航空宇宙局)が保有する航空機「飛行科学研究所」とのツーショットが撮られ、アームストロング飛行研究センターで披露されています。なおこの「飛行科学研究所」も、1969年デビューのDC-8を改造したもの。デビューから60年以上経過し、今や1機でも現役のDC-8を見ることが難しいなか、「コロナ禍」によって、とても珍しいカップリングが実現したのです。

※誤字を修正しました(2月23日13時55分)。

【スリムボディは健在!】動画で見るNASAの「DC-8」の機内

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