2022年開業「宇都宮LRT」建設を見る ルートは山あり谷あり どれくらい進んだ?

新しい路面電車「芳賀・宇都宮LRT」。建設工事は、レール敷設まで進んでいる箇所もあるものの、まだ線路の影も形もできていないところもあり、区間により進捗はまちまちです。2022年3月の開業、間に合うのでしょうか。

レール敷設まで進んでいるのは、ほんの一部

 栃木県宇都宮市および芳賀町で路面電車「芳賀・宇都宮LRT」の建設工事が進んでいます。全線新設の路面電車は、少なくともここ30年では初めて。2020年11月の宇都宮市長選では、LRT建設を推進する佐藤栄一市長が、計画凍結を訴える候補を押さえて5選を果たし、弾みがついたといえるでしょう。

 建設工事はどこまで進んでいるのでしょうか。9月にはレールの敷設も始まってはいるものの、11月時点において、そこまで進んでいる箇所はほんの一部でしかありません。

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鬼怒川の東側ではLRT専用の高架橋ができつつあった(2020年11月、中島洋平撮影)。

 現在整備中の区間は14.6kmで、主に以下の4つに分けられます。

(1)JR宇都宮駅東口~平出町:駅から東へ延びる市街地の道路上を走る区間。
(2)平出町~作新学院北:農地の上や鬼怒川をまたぐ区間など、専用線を走る区間。
(3)作新学院北~テクノポリス東:工業団地やニュータウン内の広い道路上を走る区間。
(4)テクノポリス東~本田技研北門:芳賀町による整備区間。(3)と連続した道路上を走る。

 それぞれの区間の建設状況は、どうなっているのでしょうか。

駅付近は線路もまだ見えず

 LRTは宇都宮駅から、東へまっすぐ延びる道路上に建設されます。

(1)JR宇都宮駅東口~平出町

(1)の市街地区間は、道路上の中央分離帯が撤去されたり、一部で道路拡幅が行われたりはしているものの「線路がここを通る」とわかるには至っていません。とはいえ宇都宮駅東口広場は、観光客でにぎわっていた宇都宮餃子の特設店舗なども撤去され、すっぽりと柵で覆われて工事が進められていました。

 この区間での車窓のちょっとしたハイライトは、国道4号を立体交差する高架橋でしょう。道路の高架橋の中央空間がそのまま線路になる予定で、路面電車の車両がクルマと並走しながら上り下りする姿が見られそうです。

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宇都宮駅東口から延びる道路。線路は道路中央に設けられる予定(2020年11月、中島洋平撮影)。

 ショッピングモールの最寄りとなる「ベルモール前」を過ぎると、道路は下り坂になります。ここでLRTは高架橋で道路を横切り南へ、田畑のなかをゆく専用線区間に入りますが、現時点では道路をまたぐ高架橋の橋脚の一部ができている程度でした。

 だだっ広い田畑のなかでは、車両基地や平出町停留場に設けられる「トランジットセンター(乗り換え拠点)」の工事も進められています。

川を越え山を上る「専用線区間」

 平出町から先の区間は、LRTだけの専用線(新設軌道)です。

(2)平出町~作新学院北

 新4号国道(国道4号バイパス)の下をくぐったLRTは、鬼怒川西岸の低地の集落や農地を貫く予定ですが、構造物の工事は始まっておらず、途中でルートを見失うほどでした。

 宇都宮市のLRT企画課によると、このあたりは用地買収も100%完了しているわけではないといいます。とはいえ、農地の一部は草が刈り取られ、そこに測量の杭が打ち込まれているなど、「ここを通るのだな」というのが何となくわかる箇所もありました。

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農地の中に続く杭の向こうが鬼怒川橋梁の建設現場(2020年11月、中島洋平撮影)。

 対照的に工事が進んでいるのが、川幅の広い鬼怒川をまたぐLRT専用の鬼怒川橋梁です。こちらは橋脚工事を終え、上部工(橋桁など)も一部進んでいました。鬼怒川橋梁の長さは634m、2021年8月完成の予定です。

 鬼怒川の東側は、川によってつくられた河岸段丘の地形を一気に駆け上がったのち、「作新学院北」の停留場にたどり着きます。ここは、作新学院大学と栃木県立宇都宮清陵高校の角にできる停留場で、両校の通学需要が期待されます。

 宇都宮市LRT企画課によると、鉄道ということもあり勾配は極力抑えられてはいるものの、芳賀・宇都宮LRTは全体を通じてアップダウンの多い路線になるといいます。

最も工事が進む「工業団地区間」へ

 専用線区間を越えると、再び道路上に線路が設けられる区間になります。

(3)作新学院北~テクノポリス東

 作新学院北から先は、清原工業団地内の広い道路上の一画に線路が設けられる予定で、清原工業団地内を南北に縦断します。レールの敷設に入っているのはこの区間で、清原工業団地北の停留場は、乗り場の屋根も骨組みができていました。宇都宮市LRT企画課によると、ここはモデル工区のような位置づけで、工事が最も進んでいるそうです。

 その北側は、道路をまたぐ専用の高架橋を通って進路を東へ取り、宇都宮テクノポリスセンター地区へ。一帯は平成以降に整備されたニュータウンで、大型の商業施設が立ち並ぶ地域の目貫通りを進みます。現在は道路の両端で拡幅のための工事が行われていますが、この区間でLRTは道路の中央部を進む予定です。

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清原工業団地北の停留場には、屋根の骨組みも(2020年11月、中島洋平撮影)。

(4)テクノポリス東~本田技研北門

 テクノポリス東から先は芳賀町のエリアとなり、同町が整備を進めています。管理センター前を過ぎたあとは一路、進路を北に取り終点へ向かいますが、ここにも「谷」が存在し、電車が坂を上り下りする姿がみられそうです。

 終点の本田技研北門停留場の一帯は、ホンダの四輪車全般の開発を担うR&Dセンターや、その関連会社からなる「ホンダ村」ともいうべきエリアです。ただ、乗り場の整備はほとんど進んでおらず、予定地らしきものもまだハッキリわからない状況でした。

※ ※ ※

 特に宇都宮駅に近い市街地区間では、軌道の全貌も未だ見えないLRTですが、宇都宮市LRT企画課によると「工事は順調」とのこと。2022年3月の開業予定は変わらないといいます。

 計画ではピーク時6分間隔、オフピーク時10分間隔の運行で、全線を普通電車ならば約44分、快速であれば37分で結びます。運賃は、宇都宮駅東口からベルモール前までは150円、終点の本田技研北門までは400円となる見込みです。今後、2021年春には車両の納入も始まります。

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