下り列車は1日1本だけの秘境駅「宗太郎」特別急行列車の特別停車駅になる

列車が1日3本しか停車せず、有数の秘境駅として知られている宗太郎駅が、特急列車の「特別停車駅」に。実際にその「特別停車」を、JR九州の新しい特急「36ぷらす3」で体験してきました。

普通列車1日3本から特急の特別停車駅になった宗太郎

「停車駅と到着時刻をご案内します……特別停車駅の宗太郎駅、13時39分……」

 宗太郎駅は、宮崎県境に近い大分県佐伯市の山間にある日豊本線の小さな駅。停車列車は通常、以下の普通列車3本しかなく、「秘境駅」とも呼ばれています。

●上り列車
6時39分:佐伯行き
20時07分:佐伯行き

●下り列車
6時54分:延岡行き

 それが2020年10月、特急列車の特別停車駅になりました。

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宗太郎駅に到着した特急「36ぷらす3」(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 JR九州が2020年10月16日(金)から運行を開始した新たなD&S列車(観光列車)、特急「36ぷらす3」。そのうち土曜日に走る宮崎発大分行き「緑の路」コースでは、宗太郎駅に特別停車します。宮崎駅の発車後に冒頭の、そしていよいよ宗太郎駅への特別停車が近づくと、方言混じりで次のような車内放送が流れました。

「列車はまもなく、宮崎県から大分県へと入ります。『大分によう来たねぇ。まあ楽しんじょくれ』。大分は『おんせん県』としても知られ、鶏天や日田やきそばなどが有名です」

「県境を越えますと、宗太郎駅に到着します。宗太郎駅では10分間の停車となり、駅の散策をお楽しみいただけます」

「宗太郎駅は、大分方面への上り列車が2本、鹿児島方面への下り列車が1本のみと、停車する列車が少なく『秘境駅』として知られています。ホームを散策されてはいかがでしょうか。発車3分前にベルでお知らせします」

特急「36ぷらす3」宗太郎駅に到着

 特急「36ぷらす3」は13時39分、宗太郎駅に到着しました。ホームが短いため、特急「36ぷらす3」の後ろ3両はドアが開きません。またここでは、対向列車とのすれ違いも行われます(この区間の日豊本線は単線)。

 宗太郎駅には、小さな石に描かれた“顔”たちや、風情のある記念碑、小さな池、往事をしのばせる“何かがあった跡”など、街の駅とは相当に違う雰囲気、時間があり、10分の停車は短く感じられるでしょう。

 駅をまたぐ跨線橋に登れば、山間にある小さく静かな集落と宗太郎駅の関係性が一望できます。

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宗太郎駅に到着した特急「36ぷらす3」(2020年10月、恵 知仁撮影)。

 宗太郎駅の乗車人員は年間144人、1日あたりの平均だと0.39人(2015年度)。対し、特急「36ぷらす3」の席数は105。この特急「36ぷらす3」が1回停車するだけで、年間乗車人員の3分の2に達してしまいます。

 もっとも特急「36ぷらす3」は“特別停車”で、駅の外に乗客が出ることはなく、そうした同駅における統計上の乗車人員や「秘境駅らしさ」に、影響はないでしょう。特急「36ぷらす3」の登場で、その雰囲気を味わいやすくなった、というだけで。

 ちなみに「宗太郎」というその地域の名前は、かつて岡藩(大分県にあった藩)が持つこの近隣の山を巡回していた「洲本宗太郎」に由来するそうです。

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