「相鉄・JR直通線」は直通サービスで勝負!? 従来ルートと運賃を比較

「相鉄・JR直通線」は相鉄線西谷駅から羽沢横浜国大駅を経てJR線に接続する新線です。相鉄線~JR新宿方面の直通列車で所要時間短縮が実現しますが、運賃はどうなるでしょうか。現行の横浜駅乗り換えルートなどと比較します。

横浜乗り換えより高くなる

 相模鉄道(相鉄)の新線「相鉄・JR直通線」(相鉄新横浜線の一部)。2019年11月30日(土)の開業に向けて工事は終盤を迎えており、車両の準備も進んでいます。

 相鉄・JR直通線は、相鉄本線の西谷駅(横浜市保土ケ谷区)から羽沢横浜国大駅(同・神奈川区)を経てJR線に接続。これにより相鉄線からJR線の新宿方面へ直通列車が運転されます。

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相鉄・JR直通線を走る予定の相鉄12000系電車(2019年3月、草町義和撮影)。

 横浜で相鉄線からJR湘南新宿ラインに乗り換える現在のルート比べ、相鉄・JR直通線経由なら所要時間が短くなり(相鉄の二俣川駅からJR新宿駅まで15分程度短縮の約44分)、乗り換えも不要というメリットがあります。

 しかし、複数ある乗りものを選ぶ要素は所要時間や乗り換え回数だけではありません。運賃がどうなるのかも気になるところ。そこで、相鉄が国土交通大臣に申請(2019年2月)した運賃額に基づき、相鉄線のおもな駅から新宿方面の運賃(大人、片道、ICカード利用)を予想。現在の運賃と比べてみました。

「西谷→武蔵小杉」「西谷→渋谷」の場合

 相鉄線の西谷駅からJR線の武蔵小杉駅(川崎市中原区)へ向かう場合、現在の相鉄線~横浜駅乗り換え~湘南新宿ラインは390円。これに対して相鉄・JR直通線経由は86円高い476円です。渋谷駅までの場合も、相鉄線~横浜駅乗り換え~湘南新宿ラインのルートが562円なのに対し、相鉄・JR直通線経由は162円高い724円です。

いまより安くなるケースもあるが…

「西谷→新宿」「大和→新宿」の場合

 一方、西谷~新宿間で見ると、相鉄線~横浜駅乗り換え~湘南新宿ラインと相鉄・JR直通線経由の直通ルートは、どちらも同じ724円です。相鉄線のほかの駅から新宿駅まで移動する場合も大きな差はなく、大和駅(神奈川県大和市)から新宿駅までの区間に至っては、相鉄・JR直通線経由のほうが横浜駅での乗り換えルートより2円安い908円になります。

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JR新宿駅の駅ビル(2015年9月、草町義和撮影)。

 ただ、相鉄線は横浜駅でJR線のほか渋谷に直通する東急東横線などと連絡。大和駅や湘南台駅、海老名駅でも新宿に直通する小田急線と連絡しています。相鉄線の瀬谷駅(横浜市瀬谷区)から大和駅で小田急線に乗り換えて新宿駅に向かうなら597円で、相鉄・JR直通線経由(775円)より178円安いのです。

 相鉄・JR直通線経由がほかのルートに比べて総じて高いのは、JR線の運賃が私鉄に比べて高いことと、相鉄・JR直通線に適用される「加算運賃」の影響が大きいといえます。

 JR線(東京の電車特定区間)と関東大手私鉄の運賃を一定の距離ごとに比べると、10kmまでの区間までならJR線が比較的安く、特に10km区間はJR線が最安です。しかし、11km以上の区間だとJR線が比較的高くなり、20km区間や30km区間はJR線の運賃が最も高くなります。相鉄・JR直通線経由で相鉄線の各駅からJR線方面に向かう場合、JR線の利用距離は最短でも羽沢横浜国大~新川崎間の13.9kmですから、小田急線などを使うより高くなるのです。

運賃とサービスのバランス、どう考える?

 また、相鉄・JR直通線を利用する場合は、相鉄の所定の運賃に加え「加算運賃」という特別な運賃も払わなければなりません。2019年2月に相鉄が申請したのは、この加算運賃のこと。その金額は普通運賃で30円になり、これも運賃を高くしている理由のひとつです。相鉄は新線の建設などにかかった費用の一部を客に負担してもらうため、加算運賃を申請したとしています。

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相鉄線とJR線の接続地点になる羽沢横浜国大駅(2019年3月、草町義和撮影)。

 このように、相鉄・JR直通線は、所要時間が短くなったり乗り換えの手間がなくなったりして便利になる一方、運賃はほかの鉄道に比べて高くなる見込みです。逆にいえば、従来より運賃を多めに払えば、いまより便利な列車を利用できるということでしょう。これを客がどのように判断するかが、相鉄・JR直通線の将来を占うことになりそうです。

 なお、相鉄・JR直通線の運賃は確定したわけではありません。相鉄が2019年2月に申請したのは加算運賃の「上限」で、認可されれば上限を超えない額で鉄道事業者が自由に設定できます。たとえば上限額が30円なら、実際の加算額は10円や20円になる可能性もあるわけです。また、2019年10月1日に消費税率の引き上げ(8%→10%)が予定されていますから、それに対応した運賃変更も行われる見込みです。

【地図】11月30日開業! 相鉄・JR直通線のルート

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相鉄・JR直通線のルート(国土地理院の地図を加工)。

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