相鉄、矢継ぎ早に新型車両を2種類導入 わざわざ別タイプを用意する事情とは

相模鉄道が、20000系電車に続けて12000系電車を導入します。いずれも新型車両ですが、異なるタイプを連続して導入する理由は、直通線の開業と関係があります。

20000系の1年後に12000系が完成

 相模鉄道に新型車両が“再び”やってきました。「12000系電車」の第1編成(10両)です。

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2018年12月に搬入された相鉄の12000系電車(画像:相鉄)。

 12000系は総合車両製作所(J-TREC)の横浜事業所(横浜市金沢区)で製造され、2018年12月18日(火)にそこを出発。12月21日(金)に相鉄の車両基地に入りました。営業運転の開始は2019年春の予定です。

 しかし、相鉄は1年近く前にも「20000系電車」という新型車両を導入しています。最初の編成は2017年、日立製作所の笠戸事業所(山口県下松市)で製造され、2018年2月から営業運転に入りました。

 相鉄が異なるタイプの新型車両を矢継ぎ早に導入するのは、これから開業する新線に対応するためです。

 まず2019年度下期、相鉄新横浜線の西谷~羽沢横浜国大間が開業。羽沢横浜国大駅の先でJR線に接続してJR東日本との相互直通運転を始め、東京都心と相鉄線を結ぶ列車が走ります。このたび登場した12000系は、このJR線への直通運転に対応した車両です。

 そして、2022年度下期には、相鉄新横浜線の羽沢横浜国大~新横浜間と、東急電鉄が運営する東急新横浜線の新横浜~日吉間が開業。相鉄と東急の相互直通運転も始まります。先に完成した20000系は、こちらの東急線への直通運転に対応しているのです。

 ただ、JR在来線と東急線、相鉄線は2本のレール幅(軌間)が同じ1067mmで、電気の供給方式なども同じ。それならJR線直通用と東急線直通用のどちらも、同じ新型車両を使えば良さそうな気もします。

保安装置だけではない「根本的」問題

 軌間(レールの幅)などが同じでも、列車を自動的に停止させる保安装置などは、各社ごとに異なることが多いです。そのため、JR線直通用の機器を搭載した車両と、東急線直通用の機器を載せた車両が、それぞれ必要になったという面もあります。

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2017年に完成した20000系電車は、相鉄の従来車に比べ車体の幅が狭くなっている(画像:相鉄)。

 しかし、それだけではありません。相鉄は東急の車両と「規格」が根本的に異なるため、2種類の新型車両を導入しなければなりませんでした。

 その規格とは「車両の大きさ」。JRと相鉄の従来車両はほぼ同じ大きさで、幅は2900mm台。一方、東急の車両や東急線に乗り入れている東京メトロ南北線などの地下鉄車両は2700~2800mmくらいで、JRや相鉄より狭いのです。車両の大きさにあわせて確保されている線路のスペースも、東急線や南北線などはJR線や相鉄線に比べ、狭くなっている部分があります。

 そのため、車体の幅が広いJRと相鉄の従来車両は、東急線に乗り入れることができません。そこで相鉄は、従来の車両より幅を狭くした東急線直通用の20000系と、従来の車両とほぼ同じ幅にしたJR線直通用の12000系というように、2種類の新型車両を開発したのです。

 ちなみに、先に直通運転を開始するのはJR線対応の12000系ですが、その3年後に東急線へ直通する予定の20000系のほうが先に完成しています。直通開始のスケジュールに合わせるなら、12000系を先に完成させてから20000系を製造しても良かったはずですが、これも相鉄と東急の違いが影響しています。

 相鉄は2002(平成14)年以降、JR東日本の通勤電車と同じ仕様の車両を導入。車両の大きさだけでなく、さまざまな機器類もほぼ共通です。これに対して東急と相鉄の車両は機器類の配置などが異なるため、相鉄の社員も「違い」に慣れておかなければなりません。そこで相鉄は、東急の仕様にあわせた20000系を先に導入し、社員の訓練期間を長く取れるようにしたのです。

【地図】相鉄新横浜線と東急新横浜線

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相鉄新横浜線(青)と東急新横浜線(赤)。相鉄新横浜線の西谷~羽沢横浜国大間が先に開業してJR線に乗り入れる(国土地理院の地図を加工)。

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