北陸の冬 世界平均より2~3倍も大きい海面水温上昇率 シーズン最初の大雪に警戒

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この後冬にかけて、ラニーニャ現象が発生する可能性が高く、太平洋高気圧の南への後退は遅い傾向でしょう。10月に入っても前半を中心に日中は残暑となりそうです。11月になると状況は次第に変わり、日本付近で偏西風は南へ蛇行しやすくなる見込みです。寒気が流れ込みやすくなり、時雨の季節到来となるでしょう。12月になると、冬型の気圧配置が強まる時期がありそうです。特に初冬期は海面水温が相対的に高く、上空に強い寒気が南下すると雪雲が急速に発達するでしょう。シーズン最初から局地的な短時間強雪に注意して下さい。

最新の3か月予報と寒候期予報より

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新潟地方気象台発表の、最新の3か月予報や寒候期予報によると、

平均気温は、10月は暖かい空気に覆われやすく、11月以降は次第にほぼ平年並みとなる見込みです。降水量は、11月にかけてほぼ平年並みですが、12月は平年並みか多くなるでしょう。また、2月にかけては、気温はほぼ平年並みで経過して降雪量は平年並みか多い予想です。

日本海の海面水温上昇率は世界平均の2~3倍 シーズン最初から大雪も

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日本近海における、2023年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.28℃/100年です。この上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率(+0.61℃/100年)よりも大きく、日本の気温の上昇率(+1.35℃/100年)と同程度の値となっています。

図は、日本近海の海面水温の秋(10~12月)の上昇率を示したものです。

海面水温の長期変化傾向の診断では、冬季が1-3月、春季が4-6月、夏季が7-9月、秋季が10-12月とされており、気温の季節(冬季(前年12月-2月)、春季(3-5月)、夏季(6-8月)、秋季(9-11月))とは、1か月ずれています。

水(海水)は、空気よりも温まりにくく冷めにくい物質で、比熱が大きくなっています。温度を1度上げるのに必要なエネルギーは、空気の場合よりも多く必要で、時間も余分に必要になるのです。このため、海面水温を検討する際の季節は、気温の季節よりも1か月後ろにスライドしているわけです。

日本近海の2023年までのおよそ100年間にわたる秋(10-12月)の海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.45℃/100年です。
これを海域別に見ると、日本海中部が+2.21度、日本海南西部は+1.77度となっています。

日本海中部や日本海南西部の海面水温の上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率のおよそ2〜3倍と大きくなっています。

地球温暖化は大気のみに限らず、海でも進行しています。同じ1度の上昇でも、大気と比較して海面水温の上昇による影響は比熱が大きく影響は甚大です。初冬期に海面水温が相対的に高い中、冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が南下すると、雪雲が急激に発達するでしょう。シーズン最初から局地的な短時間強雪に注意が必要です。

過去3年の12月の降雪実況は「平年より多い」又は「平年よりかなり多い」

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図は、北陸地方の月別降雪量の平年比の過去3シーズンを示したものです。例えば、12月の棒グラフでは、2021年度の平年比が157%で平年より多く、2022年度は平年比210%で平年よりかなり多く、2023年度は平年比は194%で平年より多くなりました。ご覧のように過去3シーズンでは、初冬期の12月が最も大雪になりやすい傾向があったと言えそうです。

2023年の12月は、クリスマス直前の寒波で、最深積雪は、福井で38センチ、金沢で39センチ、富山で47センチ、新潟で42センチを観測、平地でもまとまった降雪となりました。また、22日には北陸西部の福井・石川・富山の3県で「顕著な大雪に関する気象情報」が相次いで発表され、輪島では24時間の降雪量が53センチと12月の観測史上1位を更新する短時間強雪となりました。

自動車の事故や交通のダイヤの乱れがあった他、湿った重い雪による倒木に起因する停電も発生、影響は各方面で甚大となりました。

雪道や凍結路面に有効な冬用タイヤへの交換は早めに計画的に行いましょう。万一の停電や交通障害に備え、停電時でも暖を取れるように、乾電池だけで着火できる石油ストーブを用意したり、懐中電灯や数日分の食糧や飲料水を備蓄するなど、今から少しずつ計画的に準備を進めていきましょう。

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