日本の南には「モンスーンジャイア」 この先は続々と台風発生か 過去の傾向は

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現在、日本の南の海上には大きな反時計回りの循環があり、これを「モンスーンジャイア」といいます。今年は、今のところ台風の発生数は少ないですが、過去の傾向から、今後は新たに熱帯低気圧や台風が続々と発生する可能性があります。

「モンスーンジャイア」とは

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日本の南の海上では、南西方向からの季節風(南西モンスーン)と太平洋高気圧の縁辺を吹く東風が合流し、大きな低圧部(低気圧)が形成されています。この低圧部はモンスーントラフと呼ばれ、低圧部による反時計回りの風の循環(渦)をモンスーンジャイアといいます。

モンスーンジャイアの中ではそれよりも小さい規模の渦が発生しやすくなり、東側で台風が発生しやすい傾向にあります。

2016年 8月以降に台風が多く発生

過去にも同様の年があり、直近では8年前の2016年が該当します。

2016年も、日本の南の海上にはモンスーンジャイアが形成されました。この年は台風1号の発生が7月と遅く、7月末の段階で発生数は今年と同じ4個に留まりました。しかし、8月に入ってからは7個、9月も7個の台風が発生、蓋を開けてみれば年間で26個の台風が発生し(平年値25.1個)、上陸数は年間6個と1951年の統計開始以来、2番目に並ぶ多さとなりました。
今年の8月8日時点での台風発生数は5個ですが、こうした過去の事例からも、この先は続々と熱帯低気圧や台風が発生する可能性があります。

2016年は台風10号が岩手県大船渡市付近に上陸し、1951年の統計開始以来、東北太平洋側に初めて上陸する特異な進路をたどりました。
この台風の影響により東日本から北日本を中心に広範囲で大雨が記録されたほか、8月17日から1週間のうちに連続して3つの台風(第 7 号、第 11 号、第 9 号)が北海道に上陸したこと等の影響もあり、特に北海道では、アメダス 225 地点中 89 地点で 8 月の降水量が歴代1位を更新する記録的大雨となり、十勝川水系、石狩川水系で堤防決壊、河川氾濫、日高山脈東部での道路・橋梁流失等が多発しました。

日本近海の海面水温(平年差)

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こちらの図は、8月7日時点での、日本近海の海面水温の平年差を示したものです。ご覧のように、日本列島は平年より海面水温の高い海域囲まれ、三陸沖周辺で特に高くなっています。
台風5号が北日本へ接近する場合、海面水温が高い海域の真上を進むことから、台風の勢力があまり衰えないことが考えられます。

台風5号 北日本へ接近の恐れも

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台風5号は三陸沖を北上しながら、東から張り出す太平洋高気圧に押される形で、3連休頃に東北や北海道へ接近または上陸する可能性が出てきています。
台風が陸から離れた海域を進んだ場合も油断できません。台風を取り巻く暖かく非常に湿った空気が、東風に乗って流れ込んできます。海面水温の高い三陸沖を通り、より大量の水蒸気を運んでくるため、大雨の恐れがあります。
また、3連休頃からは風が強まる可能性があり、太平洋側ではうねりを伴って波が高くなるでしょう。暑さをしのぐために海のレジャーをお考えの方も多いかと思いますが、強風や力強いウネリを伴った高波にもご注意ください。
台風5号の予想進路はまだ不確実ですが、いずれのコースを進んだ場合も3連休中の影響が考えられます。最新情報を確認しましょう。

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