市川紗椰がハワイの鉄道「スカイライン」に乗車「"ジェットコースター系公共交通"です」

ハワイの「スカイライン」、開業後すぐに乗りに行きました


ハワイの「スカイライン」、開業後すぐに乗りに行きました
『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は市川紗椰が去年の6月に開業したハワイの鉄道「スカイライン」について語る。

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建設経過から見守っていたハワイの鉄道「スカイライン」に、ついに乗りに行きました。といっても、乗車してから半年以上たってしまいましたが、その様子をご紹介します。

スカイラインは、去年の6月に開業した高架鉄道。1947年に「サトウキビ列車」が廃線になったハワイでは、約75年ぶりの公共交通機関としての電車の開通です。

今のところはオアフ島西部のカポレイ地区とアロハスタジアムの区間しか開通していませんが、2025年にはダニエル・K・イノウエ国際空港までの区間が、31年にはダウンタウンまでの区間が開通する予定です。完成すると、空港からアラモアナセンター辺りまで15分で行けるようになるといわれています。車だとすいてたら20~30分、混んでると1時間以上かかったりするので、観光客が利用することも増えるかもしれません。 

現在運行しているのは、アロハスタジアムのあるハラワ駅から西部の郊外クアラカイ駅まで。今回、この片道22分の区間を往復して完乗してきました。私はいつも西部コオリナに泊まっているので、この地域にはなじみがありましたが、ホノルル・ワイキキ周辺からは「わざわざ行く」くらいの距離です。でも、わざわざ行くくらいの価値はある!かもです。

オススメポイントは、なんといっても眺め。地上9mの高架なので、車窓の景色は広く高く、もはや動く展望台。ダイヤモンドヘッドやワイアナエの山々、ビビッドな緑の雄大な高原はもちろん、海や真珠湾に浮かぶ巨大な船もすてき。アリゾナ記念館などの観光スポットも見えますが、個人的には工業地帯や商業施設を見るのが楽しかったです。

窓が広くて開放感があり、前面展望が楽しめるのもポイント。完全自動運転なので、運転席がなし! 先頭の窓の前には特等席があり、大パノラマが堪能できます。しかもドンとど真ん中にひとり席! 一瞬、そこに座ってた子供が運転しているのかと思いました。ちなみに、車両および完全自動運転システムは日立製で、アメリカでは初の完全自動運転の鉄道です。

大きな窓、雄大な景色......ゆったりなイメージだけど、乗ってみてびっくり。スカイラインはとにかくスピード感が印象的で、体感速度は予想をはるかに超えていました。意外と勾配も多く、疾走感あふれるエキサイティングな路線。"ジェットコースター系公共交通"です。

座席はすべて壁面に固定されている片持ち式シートなので、宙に浮きながら疾走する感覚でした。車両と車両の間の貫通扉はなく、見通しが良くなってるのも開放感にプラス。床に何もないから、スーツケースはもちろんサーフボードや自転車が置きやすくなっています。

駅も広すぎるくらい大きいところばかり。コンクリートの塊だけど、柱に伝統的なハワイアンの柄や地元の民話に基づいた絵が彫られていました。合理的な作りの中でも装飾を施しているところに、こだわりを感じました。

一番びっくりしたのは、終電が19時ということ! 完全自動運転なのに! これからに注目です。

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。「スカイライン」のチケットの柄はハワイアンでかわいかった。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

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