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サギソウ植え戻しやめて 自生地5カ所で「遺伝子かく乱」確認

シラサギが羽を広げたような優美な花を咲かせるサギソウ(中浜直之さん提供)

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 シラサギが羽を広げたような花びらが特徴の希少な山野草「サギソウ」について、兵庫県内の自生地で野生株と栽培品種が交雑する「遺伝子かく乱」が起きているとの研究結果を、人と自然の博物館や手柄山温室植物園、神戸大などの研究グループが発表した。人の手で自生地に栽培種を植える「植え戻し」が原因とみられ、繁殖力や環境適応力が落ちるリスクがあるといい、独断で植え戻しをしないよう、注意喚起している。(井上 駿)

 サギソウは主に湿地に生息するラン科の植物で、その美しい姿から山野草の愛好家の間で園芸用として人気が高い。一方、乱獲や湿地の減少などで減少し、環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されている。

 遺伝子かく乱は、人為的な生物の移動により、生育地本来のものとは異なる遺伝的な構造に変化してしまう現象で、種の存続や生態系に悪影響を及ぼす可能性がある。

 同博物館の中浜直之研究員(保全生物学)が、サギソウの保全のために、植え戻しが行われている可能性について同植物園から相談を受けて研究を始めた。県内のサギソウ自生地33カ所と、同植物園の栽培株8品種の遺伝子を解析したところ、県内5カ所の自生地で遺伝子かく乱が起きていたことが判明。花粉の飛散や種子の移動で、半径640メートル以内の生育地にもかく乱株が広がってしまうリスクがあることも分かった。

 中浜研究員によると、遺伝子かく乱の研究はこれまで淡水魚などが中心で、山野草など植物分野では先行事例がほとんどなかったという。「一度植え戻しをすると周囲に拡散する危険性もある。ほかの山野草でも同様の現象が起きている可能性もあり、保全目的であっても植え戻しは専門家に相談してほしい」と呼び掛けている。

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