後継の指導者不在…公立校ボクシング部が2年後に廃部 発足から半世紀

2023年春に予定される廃部を控え、躍進を誓い合う飾磨工ボクシング部のメンバーら=姫路市の同校 Copyright(C) 2021 神戸新聞社 All Rights Reserved.

 播磨地域で唯一の公立高校ボクシング部、飾磨工が2023年春に廃部となる見通しだ。激しい接触を伴う競技で、専門知識を持つ後継の指導者が見つからないのが理由という。部員は1968年の同好会発足から半世紀にわたる歴史に思いをはせ「全員で全国大会を目指し、最後に部を盛り上げる」と結束する。

 校内の倉庫がボクシング部の練習場だ。約60平方メートルの空間に、4メートル四方のリングやサンドバッグがあり、部員が汗を流す。壁には校訓や、校歌の歌詞、ムハマド・アリの言葉が掲げられている。

 「寂しいですね。これも時代の流れかな。選手が心身ともに成長する姿を見守るのが指導の醍醐味(だいごみ)だった」と田中晃監督は語る。

 全日本選手権ライト級3連覇の星大二郎らを兵庫工高時代に育てた伯楽も、2022年3月に定年を迎える。次の顧問のなり手がなく、今の2年生部員が卒業する23年3月に部を閉じる予定。新部員の募集は既に停止した。

 飾磨工ボクシング部は、生徒の全国高校総体出場を機に1968年、同好会として誕生。71年に部に昇格した。10年後からはほぼ毎年同総体に選手を送り込み、89年には5人が参戦。田中監督が赴任した2013年以降も、インターハイ選手や兵庫県王者を生み出してきた。

 今春卒業した前主将、佐々木る玖(るく)は3歳から競泳を続けてきたが、高校でボクシング部を見学し「先輩たちのスパーリングがかっこいい」と転向した。思い出のつまった部活動が消えることになり「悲しい。後輩には、田中先生の夢である全国チャンピオンになってほしい」と託す。

 現主将の3年、美作(みさく)羽唯斗(はいど)は「試合で戦った後、相手と仲良くなる」と、殴り合いを経て芽生える不思議な感情に魅了されている。部員は今、全日制と多部制の計8人。キャプテンは「県大会(の優勝)を取って、最終目標は全国チャンピオン。全員で全国を目指して結果を残す」とひと花咲かせる。(藤村有希子)

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