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タカ羽ばたき、千羽のムクドリ散る 害鳥駆除後はご褒美の肉

一仕事を終えたハリスホークの咲に肉を与える鷹匠の田中和博さん=明石市内

一仕事を終えたハリスホークの咲に肉を与える鷹匠の田中和博さん=明石市内 Copyright(C) 2021 神戸新聞社 All Rights Reserved.

 夕闇迫る兵庫県明石市中心部の上空に、大きな翼を広げたタカが舞い上がる。鋭い眼光の先には、ビルの軒先や電線に集まった約千羽のムクドリ。歩道に落ちるふんや鳴き声が問題となっているムクドリの対策にとこのほど、「鷹匠(たかじょう)」が投入された。悠々と羽ばたくタカに驚き、ムクドリの群れが散っていく様子を通行人が目を丸くして見守った。(小西隆久)

 都市部では近年、ムクドリの群れによるふんや鳴き声の騒音などが問題化。姫路市のJR姫路駅と姫路城を結ぶ大手前通りでも、市が1980年代から音波を発生させたりレーザー光を発射したりして群れを追い払おうとしているが、効果は思うように上がっていない。

 ムクドリは体長24センチほどで、翼や胸などは茶褐色で足とくちばしは黄色い。スズメなどと同様、国内のほぼ全域に生息し、一年を通じて同じ場所で暮らす留鳥(りゅうちょう)の一種。昼間は単独で行動するが、夕方になると集団となって明るい場所にねぐらを形成する習性がある。

 明石市では2年ほど前から、明石駅南を走る国道2号沿いの電線や雑居ビルの軒下などに、約千羽が集まるようになったという。先端のとがった剣山を電線や軒先に取り付けるなど対策を採ったが、しばらくするとまた元通りに。最近では、拡幅工事で新しく整備された国道2号の歩道上にふんが広がり、歩行者が避けて通る事態になっていた。

 そこで、毎日のように歩道を掃除していた国道拡幅工事の業者が、タカで害鳥を追い払う「グリーンフィールド」(大阪市西区)に依頼した。

 大事な役目を引き受けたのは、ハリスホークの咲(ざき)(2歳)と露(つゆ)(0歳)。ハリスホークは北米などに生息し、中型で調教しやすいとされる。2羽はいずれもメス。鷹匠のもとで訓練を積み、騒音が大きな工場や市街地などでの任務をこなすことができるという。

 夕方になり、ムクドリが電線などに集まり始めた。鷹匠の田中和博さん(49)が咲を上空に放つと、クモの子を散らすようにわっと飛び立つムクドリの群れ。繰り返すうちに鳴き声が小さくなってきた。

 「ムクドリにここは危険だと認識させることが大事」と田中さん。どれだけ恐怖心を植え付けるかで効果が持続する期間が決まるという。

 同じく鷹匠の三輪優奈さん(20)と手分けして、鳴き声がする方向に何度もタカを放つ。暗くなる頃にはムクドリの姿が見えなくなった。

 当初の計画では計8日間飛ばす予定だったが、3日目にはムクドリの姿がすっかり消えたため、予定を短縮して切り上げることに。田中さんは「追い払われたムクドリは小さな群れになって散っていく。そうなれば、散った先でふんや鳴き声が問題になることは少ない」と話す。

 付近はかつて明石城の城域。はるか昔、この辺でも鷹匠がタカを操る情景が見られたのだろうか-。役目を終え、ご褒美の肉をおいしそうについばむ咲と露の姿にふと、そんな面影がよぎった。

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