米カリフォルニア州知事、AI開発者にセキュリティー対策義務付ける法案への署名を拒否…産業界に配慮

 【フェニックス(米アリゾナ州)=後藤香代】米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は29日、AI(人工知能)モデルの開発者にサイバーセキュリティー対策を義務付けるAI安全法案への署名を拒否したと発表した。AI産業の集積地として規制でも世界をリードできるか注目されたが、法案に反対した産業界に配慮した。

カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事=AP

 ニューサム知事は「法案は(AIの)最も基本的な機能にも厳しい基準を適用するものだ。テクノロジーがもたらす脅威から市民を守るための最善の方法だとは思わない」と理由を説明した。代替策としてAIの専門家の協力を得ながら、最先端モデルの能力やリスクの分析を進める考えを示した。

 カリフォルニア州には世界の主要AI企業50社のうち32社が拠点を置いており、地元の産業界から「AI開発の妨げになる」と法案に反対する声が上がっていた。

 法案はAIを悪用した大規模なサイバー攻撃を想定し、対策を怠った開発者に対する民事罰を定めたもので、8月に州議会で可決された。ニューサム氏は9月末の期限までに署名するか、拒否して廃案とするかの二者択一を迫られていた。

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