国家公務員志望からゲーム実況者へ。安定より面白さを選んだ男・おおはらMENの初エッセイ
公務員か、ゲーム実況者か。究極の分かれ道で、彼が選んだ道はーー。
ゲーム実況者・おおはらMEN氏の初エッセイ『ぼくらの to be continued』(KADOKAWA)が2024年9月に発売された。彼はゲーム実況グループ「ドズル社」のメンバー。ドズル社は「Minecraft」を中心に様々なゲームを配信する人気グループで、チャンネル登録者数は190万人を超えている。おおはらMEN氏の個人チャンネルも登録者54万人で、かなりの人気配信者である。
このエッセイでは彼が実況者になるまでの道のりが綴られている。小学校受験から高校までエスカレーター式の一貫校に通い、推薦入試で大学に進学した氏。彼の大学在学中の将来の夢は「国家公務員」だった。彼はアルバイト感覚で手伝っていた幼なじみのYouTuberに誘われ、大学在学中から実況者として本格的に活動を始めることに。
安定か、チャレンジか。両極端な職業の狭間で悩んだのは一瞬。「『面白そう』に賭けたくなった」と本書の中で話す。もちろんすぐにうまく行ったわけではない。下積み時代には鶏皮ともやし炒めで日々を凌ぎ、そこから現在の人気へと駆け上がってきた。
そんな彼は「5分悩むのも10時間悩むのも一緒」「悩もうが悩むまいが、決断にどれだけ時間をかけようが、結局は選んだ道をどれだけちゃんとやれるかだ」という決断法からは、胆力や芯のブレなさが強く感じられた。
本書では「彼はなるべくして人気実況者になっている」と思わされる考え方があちこちで見つかる。実況を仕事にしていなくても、見習いたくなるようなことばかりだ。
魅力はそれだけではない。現在の氏に通じる数々の過去エピソードは、クスリと笑えて心が温まる。
小学生では友達と通貨代わりに使っていたオナモミを大量に摘み取り大インフレを起こし、中学生では高校受験がないのをいいことにゲーム三昧、高校の卒業旅行では青春18きっぷで6日間、笑いあり感動あり、食あたりまである波乱万丈な京都旅行を決行し、1年中履いているクロックスで雪の日も出かけていく。
配信から伝わってくる、明るく面白くどこか知的なその人柄が、昔から変わらないものなのだとわかるエピソードが詰まっている。もちろん、共に活動するドズル社メンバーや配信仲間の話も多く登場する。
「実況者は全クリがない職業だと思っている」と話すおおはらMEN氏。自分の“好き”を大切にしてド安定を捨てた彼の生き様を知ると、彼が仕事を、人生を、やり込んでいく様子をずっと見ていたくなる。
おおはらMEN
ドズル社所属のゲーム実況者。ガンガントークを回すのが理想のゆるゆる実況に定評がある。 プロマインクラフターとして多様なジャンルで活躍の幅を広げている。
11/20 20:30
ダ・ヴィンチWeb