店主はバリトンボイスな“イケ猫”!?『妻は僕を太らせたい!』著者が送るハートフルストーリー『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』

『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』(栗栖ひよ子/ポプラ社)

 学校や職場はもちろんのこと、親しい人や家族との間でも少しのことですれ違ってしまう人間関係。その悩みを吐き出せる場所があれば、どんなに楽だろうか……。そんな思いを日々抱えている人にオススメしたいのが、2024年5月8日(水)に発売された小説『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』だ。

 『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』の著者である栗栖ひよ子は、2018年に発表した『菓子先輩のおいしいレシピ』で「小説家になろう×スターツ出版文庫大賞」の特別賞を受賞して書籍デビュー。その後は『恋する金曜日のおつまみごはん~心ときめく三色餃子~』や『妻は僕を太らせたい!』など、グルメをテーマにした作品を世に送り出している。

 そんな栗栖が今回手掛けるのは、「夕闇通り商店街」という場所にある純喫茶「またたび」を舞台にした物語。「夕闇通り商店街」は幽世と現世の境目に存在する妖(あやかし)たちが営む商店街で、心が不安定な人間が導かれたように訪れるのだという。

 ちなみに前作『夕闇通り商店街 たそがれ夕便局』では、“あるルール”を守れば現在・過去・未来のどこにでも手紙を届けられる不思議な郵便局をテーマにした物語が展開されていた。

 今回の舞台となる純喫茶「またたび」を営むのは、オシャレな蝶ネクタイと黒いベストを身にまとった猫又。落ち着いたバリトンボイスで人の言葉を話し、自らを「マスター」と呼ぶように客へ呼びかける。

 猫又が店主であるという点を除けば、「またたび」は至って普通のレトロ喫茶。メニューもコーヒーやクリームソーダ、ナポリタンやピザトーストなど定番を取り揃えている。しかし1点だけ、一般的な喫茶とは異なるルールが存在しているのだ。それは、お代が“思い出”だということ。

 いかにも怪しさ満点の純喫茶「またたび」だが、なにもマスターが思い出を栄養にする妖といった話ではない。むしろお客が抱える人間関係の悩みに黙って耳を傾け、それを解決に導くようなアドバイスを送るという、絵に描いたような理想の店主だ。

 ただ一方で、マスターはメニューにある「究極のブレンドコーヒー(仮)」を無料で提供しては、その反応をじっくりうかがう節がある。その真意とは、一体何なのだろうか……。

 喫茶グルメと、それにまつわる思い出を通して多種多様な人間模様が描かれていく同作。手に取った人からは、早くも「グルメ描写が秀逸で、ついつい食べたくなってしまった」「人間関係の拗れは意外に単純で、少しのきっかけがあれば修正できるもの。そんなコトに気づかせてくれる素敵な物語でした」といった感想が寄せられている。

 猫又と悩みを抱えた人間が織りなす『夕闇通り商店街 純喫茶またたび』。日常に疲れてしまったという人は、同作を手にとって心のデトックスをしてみてはいかがだろうか。

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