日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ドリーム・シナリオ』をレビュー!

日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。ニコラス・ケイジが夢に出てくる! 戦慄の悪夢スリラー

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『ドリーム・シナリオ』

評点:★3点(5点満点)

©2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED


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単純すぎる「メタファー」は物足りない

「世界中の人の夢に登場する謎の男」が似顔絵と共に「This Man」という名でインターネット・ミームとして拡散されたのは2009年ごろのことで、眉毛の濃い、禿げ上がった丸顔の男の絵を覚えている人もいるだろう。

このミームはのちにイタリア人の社会科学者/マーケッターが仕掛けた「ゲリラ・マーケティング」の一環で、早い話が嘘っぱちだったことが判明したわけだが、本作ではニコラス・ケイジ扮する禿げ上がった冴えない大学教授の姿が本人の意志とは無関係に人々の夢に出てくるようになる。

最初こそ「バズった」ことで突然得た知名度と人気に浮かれる本人だったが、やがて彼の登場する夢がよくないものへと変質していく中、今度は人々に忌み嫌われ絶え間ない誹謗中傷や攻撃の的になってしまう。

これが既に終わりかけている「SNS時代」のメタファーであることは明らかで、ネット上の「イメージ」は「実像」の虚栄心を満たす一方、ひとたび集合的なマインドによって「悪者認定」されてしまうと「実像」に対するリアルな「叩き潰し」が永遠に続くということだが、『ブラック・ミラー』のようなTV番組の1エピソードには十分でも、映画としては物足りなさが残る。

STORY:ごく普通の暮らしをしている大学教授ポールは、ある日から何百万人という人々の夢の中に現れ、一躍有名人になる。しかし、夢の中のポールがさまざまな悪事を働くようになり、一気に人気者から嫌われ者に転落してしまう......

監督・脚本:クリストファー・ボルグリ
出演:ニコラス・ケイジ、リリー・バード、ジュリアンヌ・ニコルソンほか
上映時間:101分

全国公開中

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