平成のパソコン販促キャラ、タッチおじさん【山下メロの平成レトロ遺産:049】
レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成の時代にインターネットの普及とともに、パソコンも一般家庭に普及しました。パソコン=ネクラの趣味といったイメージが根強かったところに、それを払拭するためNECのパソコンのアニメーションCMキャラ「バザールでござーる」(1991年~)が活躍。
しかし、それはバザールだけではありません。その後に登場した重要なキャラが富士通の「タッチおじさん」です。
タッチおじさんは〝アホの坂田〟として知られた故・坂田利夫さんが声を担当。「パソコンをはじめたいけど、少しはずかしい」というお父さんの心理をコミカルに描いたアニメCMでした。
これは富士通がまだFM TOWNSという独自設計のパソコンを販売していた1994年に登場。Windows 95旋風が起こる前年のことでした。
こちらは、パソコンのRS-232Cポートに接続し、パソコンの操作に連動して人形が動くアイテム。パッケージには妻のタッチおばさんと子供のタッチ子も描かれている。付属する8㎝CDからドライバーのインストールが必要
サラリーマンの業務にパソコンが必須となりつつあった時代。パソコンに興味のあるお父さんに店頭で触ってもらおうというのが、まさに有名な「来て見て、さわって富士通のお店」というキメのフレーズに表れています。
タッチおじさんといっても、スマホのようにパソコンをタッチ操作するわけではなく、店頭でパソコンに触ってみてほしいという意味のタッチなのです。
バザールが少しシュール路線のアニメCMながらも、ポップな色使いと動物キャラだったのに対し、タッチおじさんは、ハゲ頭につながり眉毛、鼻毛のようなチョビヒゲといったキモカワイイ路線でした。
その後のトロール人形やダンシングベイビー、さらには『こびとづかん』にまでつながるキモカワブームの先駆けだったともいえるでしょう。
購入者特典としてマウスなどパソコン周辺機器は定番。ほかにもかけ時計も存在した。バザール同様グッズは多いが、特に独特なセンスを感じるのが磁器製の風鈴。体形はさておき、頭の毛まで忠実に立体で再現している逸品
そしてバザール同様、高級だったパソコンを買ってもらうため、たくさんのタッチおじさんグッズが作られました。マウスなどのパソコン周辺機器は定番で、ほかにも数多くのグッズが存在します。
実家が富士通のパソコンだった方は、お父さんのパソコンデスクを探してみましょう。何か見つかるかもしれません。
撮影/榊 智朗
10/02 17:00
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