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朝晴れエッセー 富士山登頂余話・7月23日

50歳を目前にして、富士山への挑戦を始めた。以来トレーニングに励み、年中行事のように頂上に立っていたが、昨年は新型コロナの影響でかなわなかった。

今年は久々のオリンピックイヤーの登山となる。実は私には忘れられない思い出がある。2008年、それは初めての「単独」で、それも日帰りの「弾丸登山」のときだった。

無理のないペースで登頂し、達成感・充実感・疲労感からひとしきり風に打たれていると、頂上売店のアルバイトらしき若者が、「皆さん、これから北島康介選手の200メートル平泳ぎの決勝が始まります」と周囲に呼びかけた。

その声に吸い寄せられるように、登山者たちがラジオの周りに集まってきた。その数20人ほどだったか。全員が日本一の山を征服した人たちだ。

ラジオの実況はクリアな音質でハッキリ聴きとれた。競技が進むにつれて、一同固唾をのんで成り行きに注目していた。

そして、北島選手が1位でゴールした瞬間、一斉に沸き起こった拍手と歓声。たまたま同じときに富士山頂に居合わせた見ず知らずの人たちだったが、ともに感動を分かち合えたのだ。

あの場にいた登山者たちは、思い出を一つ重ね、足取り軽く下山したに違いない。

コロナ禍での今年のオリンピックは、感染拡大への不安から否定的な意見が多かった。しかし、人生をこの大会にかけてトレーニングしてきたアスリートたちには、思い切りエールを送りたい。

もちろん、その場所はどこであっても、である。


福田稔(64) 埼玉県毛呂山町

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