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在日ネパール人の〝駆け込み寺〟 コロナ禍苦しむ同胞支援

長引く新型コロナウイルスの感染拡大は国内に住む外国人にも大きな影響を与えている。新型コロナに感染したり、勤務先を突然解雇されたりしても日本語が分からず、適切な情報を得られにくいケースもある。在日ネパール人が急増する新宿・新大久保では、16年前から日本に住むネパール人男性の元に、毎日のように同胞からの相談が舞い込むといい、男性は行政によるサポートの必要性を訴えている。

「病気になってタクシーで病院に行ったけど診てもらえない」「在留資格の申請方法が分からない」

ネパール語の新聞などを発行する「GMTインターナショナル」の常務取締役、ドウラ・リトウ・クマルさん(41)の携帯電話には昼夜を問わず、在日ネパール人から相談の電話がひっきりなしにかかってくる。在日ネパール人にとっての〝駆け込み寺〟の役割を担うクマルさんへの相談は、昨年から新型コロナ関連が増え、感染した場合や雇用に関すること、支援金の申請方法など多岐にわたる。

クマルさんによると、コロナの影響で仕事を失った人も多く、日本の法律や雇用について詳しくないことを逆手に、経営者から「翌日から来なくていいと」と言われるなど、簡単に解雇されるケースも相次いでいるという。「解雇されてネパールに戻った人も多い。コロナはかなり厳しい」(クマルさん)

日本に住むネパール人は昨年6月現在で9万5367人。政府の「外国人留学生30万人計画」による外国人ビザ緩和政策でアジアからの留学生が増加する中、ネパールでも日本留学ブームが起き、平成20年ごろから来日者が増えていった。留学生や家族滞在が多く、15年4月の新宿区の外国人登録者数でネパール人は64人だったが、今年6月1日時点では2398人。中国、韓国に次いで多い。

クマルさんは17年に24歳で来日した。ネパールで新聞記者やリポートの仕事をしており、日本人の観光客と触れ合う中で、日本語を勉強するようになった。本格的に日本語を勉強しようと来日し、日本語学校に1年通った後、大学を経て大学院に入学。ウェブ関係について学んだ。

ネパールへの帰国も考えたが、徐々に増える在日ネパール人のためになる仕事をしたいと、現在の会社に入社。家族を呼び寄せ、日本での生活は16年になる。

ネパール人が経営する飲食店やコミュニティーもできた一方で、日本語が分からない人も増えたが、行政も英語に比べネパール語に翻訳されたものは少ない。ネットで翻訳したものは間違っているケースも多く、同胞へのサポートは欠かせない仕事だが、基本的には無料で行っている。

もっとも多いのは在留資格についての相談だ。同じ時期に入国し、同じ場所で働いている人同士でも、1人は在留延長の許可が下りたが、もう1人は国外退去になるというようなケースもあるという。クマルさんは「審査の明確な基準が分からず、公平性を持たせてほしい」と話す。

クマルさん自身も今後も日本に住み、両国の役に立つ仕事をしたいと考えている。コロナ禍でより情報の正確さが必要となる中、行政などのサポートも必要と訴える。クマルさんは「今後も母国語の情報発信を続けていきたい」としている。

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