侍塚古墳を栃木県が初の本格調査 周溝など全体像確認 国史跡追加指定も 

 栃木県大田原市にある国指定史跡「侍塚古墳」の周溝を含めた全体像を確認するため、県は今年度から発掘調査を開始する。周溝などの範囲を確定し、現在は限定された範囲で指定されている国史跡への追加指定申請も視野に入れている。このほか、古墳の起伏などを立体的に表現する赤色立体地図の作成に向けて、高精度の航空レーザー測量も行う。

 同古墳は、上侍塚(全長114メートル)と下侍塚(同84メートル)の2基の前方後方墳からなり、4世紀中ごろから後半に築造されたとみられている。発掘調査は、昭和50年に旧湯津上村が土地改良事業に伴い下侍塚古墳の発掘調査を実施して以来。県による本格的な調査は初めてで数年にわたる見通し。

 同古墳は昭和26年に墳丘部分が国史跡に指定されたが、周溝などは含まれていない。今回の調査では周溝を含めた全体像を明らかにして今後の保護行政に役立てるほか、周溝を含めた範囲を確定し国史跡への追加指定申請も検討していく。

 周溝の調査は古墳周辺の田んぼで、今シーズンの稲刈り終了後に予定している。また航空レーザー測量はヘリコプターで実施する方向。古墳と周辺を一体的に測量し赤色立体地図を作成する。このほか古墳内の様子を確認するための地中レーダー調査も実施する。

 文化財保護法改正によって文化財の保護とともに活用を強く求められる中で、県は今年2月に県文化財保存活用大綱を策定。重要遺跡の調査・研究と活用を重点テーマに据える中で同古墳の調査を決めた。調査中には一般の見学を受け入れ、発掘の様子をインターネットで動画配信する方向で調整している。

 また今後、江戸時代の元禄5(1692)年に水戸光圀の命で行われた日本考古学史上初の学術的な発掘調査で出土し埋め戻された鏡や鉄刀片などについても、確認に向けた調査を検討していくという。(伊沢利幸)

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