6歳の歌姫・ののちゃん(村方乃々佳)が魂の歌唱!ベストセラー絵本『もうじきたべられるぼく』テーマソング収録現場レポート
(取材・文・構成=かわむらあみり 撮影=本社・武田裕介)
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【写真】会心の出来!思わず振り返ってガッツポーズのののちゃん
10年の月日を経て絵本に
はせがわゆうじさんによる絵本『もうじきたべられるぼく』は、自らの運命を受け入れた子牛の「ぼく」が、お母さんに会いに行く物語。「号泣注意」のキャッチコピーとともにTikTokの読み聞かせ動画が300万回再生されて話題となり、10年の月日を経て絵本となって書店に並び、現在23万部のベストセラーとなっています。
今回、『もうじきたべられるぼく』の世界が広がる展開として、新たなアプローチでの作詞と作曲による歌「もうじきたべられるぼく」が誕生、9月25日から、かっきー&ののちゃん(村方乃々佳)デュエットバージョン、ののちゃん(村方乃々佳)ソロ(10月30日配信予定)、かっきー(柿島伸次)ソロ(11月27日配信予定)とバージョンを変えて3作品が配信されることになりました。
都内のスタジオにメンバーが集合し、まずは歌唱と作・編曲を担当する柿島伸次さんが、作詞を担当したもりちよこさんに見守られながら、レコーディングをスタート。
控え室では、ののちゃんが山口さんとご挨拶。絵本『もうじきたべられるぼく』を読んで「ここまで読んだよ!」と伝えると、山口もえさんは「本当だ、すごいね〜」とニッコリ。「今、何歳?」とたずねる山口さんに、「6歳」と答えるののちゃん。ほのぼのとした雰囲気に包まれます。
次にナレーションを収録する番となり、表情豊かな声で惹きつけていく山口さん。さすが、絵本に挟まっていた読者カードを書いて自ら出版社に送るほど物語に感銘し深く理解しているということもあり、ナレーションを聞いていたスタッフたちはその表現力にあふれた朗読に聞き入っていました。
すると、著者のはせがわゆうじさんがスタジオに登場。レコーディングブースからその姿を見つけて、「はせがわさ〜ん!!」と手を振る山口さんに、少し照れくさそうなはせがわさん。ここで2人に感想をたずねてみると……。
著者・はせがわゆうじさん×山口もえさん
山口 はせがわ先生、来てくださって、すごく嬉しいです。
はせがわ もえさんの収録なら立ち会わなくてはと思って。聞いていてウルウルと涙ぐんでしまいました。
山口 ありがとうございます。私が読ませていただくのはおこがましいと思ったんですが、お声をかけていただいて、すごく嬉しかったです。今回、声のトーンをどれくらい下げようか、あえて明るく言おうか、といろいろと考えてきて。たとえば「空がきれいだ」という言葉が出てくるんですが、はせがわ先生はきっと前向きな気持ちで描かれたんだろうなと想像して、切なくなりすぎないように、でも伝えたい気持ちはしっかりと持ちながらで読ませていただきました。
はせがわ すごくよかったです。
山口 絵本自体、版を重ねて17万部(8月28日時点)に達したと聞いて、私事のように嬉しくて。本屋さんに行くと“今週売れたランキング1位”になっていて、絵本で一番売れていましたよ。
はせがわ もえさんのおかげです。
山口 いえいえ、みなさんの努力の賜物ですよね、すごいなって。おめでとうございます!
はせがわ いやあもう、ありがとうございます。(照笑)
山口 先ほど、ののちゃんにも会いましたよ。来年1年生になると聞いて、しっかりしているなあと。本当に可愛かったです。はせがわさんが持ってきてくださったお土産のお菓子を、私にもひとつくれました(笑)。それにしても、絵本から始まった世界が、歌になって、そしてまた広がっていくなんてなかなかないことですよね。はせがわ先生はご自身が描いた絵本の歌をののちゃんや柿島さんに歌ってもらうことになって、いかがですか?
はせがわ この本から生まれた曲は2曲目で、友人の勝誠二さんが2013年に作ってくださった「モウじきたべられるボク」のほうはハイテンポで明るい感じの曲でしたので、今回の曲は真逆な感じでおもしろいですね。本当に楽しみです。
山口 大人の方の心にも響く絵本なので、お子さんから大人の方まで幅広い方々に読んでほしいですし、よかったらこの朗読と歌も聴いてほしいですね。
6歳の歌姫、ののちゃんのレコーディング
そして、いよいよののちゃんがブースへ。ちいさな耳に大きなヘッドフォンをつけて、高らかに歌っています。
その様子を見守る柿島さん、もりさん、はせがわさんや音楽制作スタッフ。よりよいものにしようと、歌唱を頑張るののちゃん。控え室では、現場に同行していたお母さんや妹・ひーちゃんと和んでいましたが、本番になるとキリッとプロの顔に早変わり。そんなののちゃんに、収録が終わってから、歌った時の気持ちや絵本についてたずねてみると……。
ののちゃん 牛さんになって、お母さんとバイバイするんだな、という気持ちで歌っていました。ちょっと悲しかったんですけど、楽しく歌えました! もえさんもかっきーさん(柿島さん)も、みんな優しくて楽しかったです。お母さんが、『もうじきたべられるぼく』の絵本を買ってくれて、じいじとばあばのおうちに置いてて。牛さんが食べられちゃうのはすごく悲しいけど、牛さんも人間の力になるんだな、と感動しながら読みました。
こんなふうに、気持ちを伝えてくれた、ののちゃん。さらに、ののちゃんのことを知ろうと、一番好きな歌について質問してみると……。
ののちゃん いつもいろんな歌を聴いていて、今日はここにくるまえにカラオケでも歌ってきました。でも、今、一番好きな歌は、「もうじきたべられるぼく」です! お話に感動したから、作った人もすごいな、って思いながら絵本を読んで、歌も歌えて、楽しくてうれしかったです。
レコーディングのためにたくさん練習したこともあってか、「もうじきたべられるぼく」の歌が今は一番好きだという、ののちゃん。レコーディングの合間に、大好きな「さけるチーズ」とオレンジジュースでエネルギー補給する場面も。そこで、普段の様子も知るべく、好きな食べ物についてもたずねてみると……。
ののちゃん さけるチーズも好きなんですけど、いちばん好きなのは、クロワッサンとか……長いパン、フランスパンとかです。ごはんよりパンのほうが好きなので、いちごジャムをつけた食パンも大好きです。
途中で、ののちゃんのリクエストにより、スタッフ差し入れのラムネ入りのおもちゃのマイクを使いながらインタビューを実行。その場にいたスタッフも、みんなほっこり。
作曲・柿島伸次さん×作詞・もりちよこさん
最後に、作・編曲を担当した柿島さん、作詞を担当したもりさんにも、曲作りのことなど、お話をうかがいました。
もり 絵本が素晴らしいので、この世界をどうやって歌詞に表せばいいのかな、と作詞担当としてとても悩みました。みなさんの意見をいただいて、またすり合わせていくと、ものすごく時間がかかりましたけれども、最終的にみなさんの意見が「いいね」となって完成できたのでよかったです。
柿島 歌詞をいただいて、そこからどんな曲にしようかと思い、最終的に三拍子が合うんじゃないかなと作ってみました。
もり 初めて聴いたのに、懐かしい感じがしますよね、三拍子だと。ののちゃんが1人で歌うバージョンと、かっきーさんとデュエット、そしてかっきーさんソロバージョンと、それぞれ前奏などのアレンジも違っていて、どれもいいなあ、と。感性で歌っていただける歌になっています。
柿島 ファーストミーティングの時に、みんなで絵本を読みながら、曲のイメージを話して。明るい感じよりも、暗い…ということではない、マイナーコードの感じかなと。
もり ロシア民謡みたいなイメージもいいかなって話も出たり。
柿島 ののちゃんのバージョンは、柔らかいイメージを出そうと思って、ピアノとガットギターを使用しました。途中からウッドベースが入ってきて、重厚になっていきます。いろいろと考えながら3タイプをそれぞれのバージョンに合ったアレンジで作りました。先ほど、はせがわ先生にもお会いしたのですが、収録でお会いできると思っていなかったので驚いて緊張してお話できませんでした(笑)。お会いできて嬉しかったです。
もり 私もお会いできて嬉しかったです。絵の印象と同じで、温かい方でした。今回、絵本の世界を歌詞にするのは難しい面もありましたが、制作する段階で、はせがわ先生が「ぼくのいのちつながるよ」という歌詞を気に入ってくださったと聞いて。「これは残してください」というご意見をいただいたので、「もちろん!」と。いろんなフレーズがあったんですが、うまく調整をつけながら、そして絵本の世界を崩さないようにできあがってよかったです。
柿島 この歌をののちゃんが歌ってくれることになって、とても嬉しかったです。今日初めて会いましたが、想像以上の歌のうまさに驚きました。音程がすごくよくて声がとても通ります。実はののちゃんが2歳の時に発売したアルバムに、アレンジという形で一度関わらせてもらったこともあって、歌う姿は事前に想像できました。もう6歳になったんですね。
もり ののちゃんとかっきーさんが歌ってくれてほんとに嬉しいです。
柿島 この歌が、絵本と一緒に、ずっと心に刻まれる歌になってほしいですね。
もり 本当に。たくさんの方に聴いていただけたら嬉しいです。
09/25 12:30
婦人公論.jp