浦島太郎には続きがあった!老人になったあとはツルへの変身!?鶴は千年、亀は万年の理由は、ツルは縁起が良いから。実際の寿命は20年から30年

優美な姿や、雌雄がペアで仲良くしているようすから、縁起が良いとされたのだろう(写真提供:photoAC)
歳を取ることについて、どちらかというとマイナスなイメージを持っている方は多いのでは。しかし「老いることは、生物が進化の歴史の中で磨いてきた戦略である」と、静岡大学大学院農学研究科教授である稲垣先生は話します。人気エッセイストとして、著書も多数執筆している先生が、注目する生きものを取り上げながら、その「老い」について考えてきます。今回取り上げるのは、縁起が良いことの象徴である「ツル」です。

* * * * * * *

【イラスト】老人になった浦島太郎は、さらにツルに変身する

縁起が良いとされるツル

俗に、「鶴は千年、亀は万年」と言われる。

もちろん、ツルは千年生きるわけではない。ツルの寿命は野生でも20~30年あり、鳥の中でも長生きである。とはいえ、昔の人がツルを研究していたり、印をつけていたわけではないから、一羽ごとの区別も簡単にはつかない。

そのため、昔の人が、ツルが長生きすると知っていたかどうかはわからない。優美な姿や、雌雄がペアで仲良くしているようすから、縁起が良いとされたのだろう。

「浦島太郎」は、カメを助けた浦島太郎が竜宮城に行く昔話だ。

そして、地上に戻り乙姫さまからもらった玉手箱を開けた浦島太郎は、白髪のおじいさんになってしまったというのだ。

しかし、「浦島太郎」の元である「御伽草子」では、この話には続きがある。

じつは、老人になった浦島太郎は、さらにツルに変身する。そして、カメとなった乙姫さまとともに、末永く幸せに暮らすというのである。

「鶴は千年、亀は万年」その続きとは

老いることなく、そのままツルに変身しても良さそうなものだが、浦島太郎は、一度、老人の姿になった。老いることは、高貴なツルになるために必要なステージだったのだ。そして、老いた先に幸せがあったのである。

老いることもなく、死ぬこともなく、若いまま生き続けることは、けっして幸せではなかったのだ。

江戸時代の禅僧である仙厓義梵(せんがいぎぼん)は、「鶴は千年、亀は万年」に続けて、「我は天年」と付け加えたという。

「千年も万年も生きることはできないが、ただ与えられた命を全うする」と言ったのである。示唆に富む言葉である。

※本稿は、『生き物が老いるということ――死と長寿の進化論』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

ジャンルで探す