夏井いつき「『プレバト!!』のおかげで俳句に興味を持つ人が増えて嬉しい。続けるための秘訣は、賞はおまけだと思って、自分のために詠むこと」

俳句を始めてみたい人、ちょっと経験のある人にお送りするスペシャル企画です。人気の俳人・夏井いつきさんが講師となり、作句のコツを伝授。これを読めば、すぐ一句詠みたくなること請け合いです(構成=篠藤ゆり イラスト=霜田あゆ美)

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パズルのように簡単に始められる俳句

私は30年ほど前から、俳句の《種蒔き活動》を続けています。最近はテレビ番組『プレバト!!』のおかげもあってか、年齢を問わず俳句に興味を持つ人が増えてきたので、嬉しい限りです。

読者のなかには、すでに俳句に親しんでいる方もいらっしゃるでしょうが、初めての方のために、少し説明しますね。

俳句のルールは2つだけ。1つめは、5・7・5の17音で構成されていること。2つめは、必ず「季語」を入れることです。

この17音のうち、はじめの5音を「上五(かみご)」、真ん中の7音を「中七(なかしち)」、最後の5音を「下五(しもご)」と呼びます。たとえば、上五に5音の「季語」を置いた場合、あと必要なのはたった12音です。言葉のパズルのように簡単に始められることも、人気の趣味となる理由の1つでしょう。

そして俳句といえば、「季語」。始めた方は皆さん、日常の身の回りに「季語」が溢れていることに驚きます。自分が《季語の森》に住んでいることに気づき、《季語の現場》に立っていることに感動するようです。これが、誰もが通る、俳句作りの第一歩です。

初心者の方が何を詠もうかなと思ったら、まず「俳句のタネ」を探しましょう。それは皆さんの周囲に数え切れないほどころがっていますから、ご安心を。そして、「俳句のタネ」をメモするための適当な手帳と、『歳時記』を用意すれば準備完了です。

賞はグリコのおまけ程度、何よりも自分のために詠む

俳句を続けていくための秘訣は、「自分のための俳句」を作ることだと思います。作り続けているうちに、創作の《壁》というのか、「分かれ道」がやってきますが、そこでも「自分のために俳句を作るんだ」と思い続けている人は、あまり悩まずに歩み進められます。

一方、「誰かに褒められたい」とか、「いずれ賞を取りたい」と思い始めると、自分のために俳句を作らなくなります。ここが分かれ道で、私はつねづね「誰かに評価されるために作るようになると本末転倒ですよ」「賞はグリコのおまけみたいなものですよ」とお伝えしています。楽しく作り続けてほしいですね。

そのうちに、「自分としてはこういうことを表現したいのに、なぜうまくいかないのだろう」と感じるようになったらしめたもの。そこから皆さん、意欲的に学んで上達していくのです。

俳句の作り方には、いくつか「型」がありますが、よく使う型が1つだった人は、別の型が使えるようになりたいと欲が出てきます。使いこなせる型が増えれば、折々の自分の複雑な感情を表現することも可能になり、学べば学ぶほど楽しくなります。つまり俳句というのは、好奇心と向学心を育てるツール。これは初心者も経験者も同じなのです。

次回以降、俳句が簡単にできる型や季語についてなど、楽しみながら作るヒントをご紹介します。

「みんなのギモンに答えます〈俳句の悩みQ&A〉」はこちら

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