京都賞授賞式、受賞者3人が喜びの声 「文明の波の中で問い続ける」

第39回京都賞を受賞したジョン・ペンドリーさん(右)と、ポール・ホフマンさん(中)、ウィリアム・フォーサイスさん(左)=11月10日、京都市左京区の国立京都国際会館、桜井林太郎撮影

 科学や文明の発展に貢献した人をたたえる第39回京都賞(稲盛財団主催)の授賞式が10日、京都市左京区の国立京都国際会館であった。自然界にない特性を持つメタマテリアルの実現方法を理論的に示し、光を迂回(うかい)させ物体が見えなくなる「透明マント」を提案した英インペリアル・カレッジ・ロンドンのジョン・ペンドリー教授(81)ら3人にメダルや賞金各1億円が贈られた。

 ほかに受賞したのは、生命進化の加速につながる全球凍結やプレートテクトニクスの活動史をフィールド調査をもとに実証した、カナダ・ビクトリア大のポール・ホフマン客員教授(83)と、舞踊の技法と美学を刷新し身体表現の新たな地平を開いた、米国生まれの振付家のウィリアム・フォーサイスさん(74)。

 フォーサイスさんは「私個人の成果というだけでなく、過去半世紀にわたり作品に命を吹き込んできた世代を超えた演者や制作者たちの献身と技術が認められた。文明の波の中で私たちが本当に理解したいと願っていることは何かを問い続ける」とあいさつ。ホフマンさんは「全球凍結はまだまだ研究の途上で、物理、化学、生物学、地質学など学際的に取り組んでいかなければいけない分野。研究を深めたい」と語った。

 ペンドリーさんは会見で「ミスをおかしたり、場合によっては間違った課題を選んだりすることもある。私自身も多くそういった経験をしたが、いい科学者になる秘訣(ひけつ)はとにかくあきらめないこと。あきらめたらどんな成果も得られない」と述べた。(桜井林太郎)

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