大発生バッタ、ふだんは「別居」の雌雄が集団産卵 駆除に習性利用も

サバクトビバッタの群れ。雄雌のペアが交尾している=国際農林水産業研究センター提供

 アフリカなどで大発生して作物を食い尽くすサバクトビバッタは、繁殖期を迎えたメスの集団が、ふだんは「別居」しているオスの元に飛んできて集団産卵する。こんな習性を、国際農林水産業研究センター(国際農研、茨城県つくば市)の前野浩太郎主任研究員らのチームが突き止めた。集団産卵する場所をピンポイントで狙った効率的な駆除につながるという。米科学アカデミー紀要に発表した。

 研究チームは2012~19年、モーリタニアのサハラ砂漠で、メスやオスだけがそれぞれ約8~9割を占めるサバクトビバッタの集団を見つけた。個々の集団はふだん別の場所にいて、産卵直前になると、メスの集団がオスの元に一時的に飛んできて、夜間にいっせいに卵を産んでいた。

 昆虫など一部の生物では、オスが子孫を残すため、メスにしつこく求愛行動をとることがある。サバクトビバッタは、こうした行動で、メスが傷ついたり産卵に失敗したりしないよう雌雄が別居している可能性があるという。

 バッタが大発生した場合、これまでは飛行機から大量に殺虫剤をまいて駆除してきたが、バッタが飛び回って逃げるなど効率が悪かった。広範囲への散布による人体やほかの生き物への影響も懸念されている。

 今回見つかった集団産卵は数時間続き、その間はバッタの動きが鈍くなる。そこを狙って殺虫剤を散布すれば、環境や健康への負担が少なく、効率よく駆除できる可能性があるという。

 前野さんは「野外調査が現地でほとんど行われていなかったため、重要な繁殖行動が不明だった。基礎的な野外調査の重要性が改めてわかった」と話している。前野さんは、モーリタニアでサバクトビバッタに関する研究が評価され、「子孫」を意味する現地のミドルネーム「ウルド」を贈られ、「前野ウルド浩太郎」として論文や本を発表している。

 論文は科学誌のサイト(https://www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.2104673118)に掲載された。(小堀龍之)

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