100キロ上空から降下した月着陸船、あと5キロで墜落…アイスペースが分析
民間で世界初となる月面着陸に挑み、失敗に終わった宇宙企業「アイスペース」(東京)は26日、月着陸船が「月面から5キロ・メートル上空まで減速して接近した後、月面に落下した」とする見解を明らかにした。飛行中に着陸船から送られてきたデータの解析から判明したという。
同社の着陸船は4月26日未明、月の上空100キロ・メートルから降下を始めた。だが、約1時間後の着陸予定時刻とほぼ同時に通信が途絶えた。同社によると、降下中に月面のクレーターの急峻(きゅうしゅん)な崖の上空を通過した際に、月着陸船の制御システムが誤動作を起こし、推定高度と実際の高度にずれが生じた。
この結果、制御システムは月面から5キロ・メートル上空を飛行中に「月面に到着した」と推定。その後、燃料が切れ、月面に自由落下したとみられるという。同社の袴田武史・最高経営責任者(CEO)は「着陸直前まで達しており、技術的信頼性を実証できた。今後のミッションの成熟度を向上させるためには非常に重要だ」とコメントしている。
今回の失敗の影響で、顧客からの売り上げが約1億円程度減少する見込みという。同社は今後、月への物資輸送や月面のデータ販売の事業化を目指しており、24年度には第2弾として今回と同型の着陸船を打ち上げる。
05/26 15:50
読売新聞