動物園のコアラ受難、ユーカリも水洗いしてたのに…細菌性肺炎感染拡大で4匹相次ぎ死ぬ

6日に死んだアイ=平川動物公園提供

 国内のコアラの約3割が飼育されている鹿児島市の平川動物公園の飼育施設で細菌性の肺炎の感染が広がり、コアラが相次いで死んでいる。9月下旬に初感染が確認されて以降、今月6日までに4匹に上る。細菌の侵入経路は不明で、今も症状の出た1匹を隔離する。同園は感染が拡大しないよう神経をとがらせている。(渡辺直樹)

 「コアラのアイが天国に旅立ちました」。4匹が飼育されていたコアラ館の通路沿いには、メスのアイ(1歳)らの悲報を知らせる案内板が並んだ。動物園巡りが趣味で13日に訪れた名古屋市守山区の会社員(46)は「つらいですね」と語った。

 コアラは22日現在、全国7か所の動物園で計55匹が飼育されている。飼育数は、4匹が死んだ後も平川動物公園の16匹がトップで東山動植物園(名古屋市)の11匹が続く。

 平川動物公園によると、園内にはコアラの飼育施設が二つあり、死んだ4匹はいずれも1984年の飼育開始時から使用している旧館の方にいた。旧館では当時、10匹が飼育されていた。

 異変が見られたのは9月中旬。メスのカナエ(1歳)に鼻水の症状がみられたことだった。カナエは抗生物質の投与後に回復したが、ほかのコアラに感染が拡大。同29日にタイチ(オス、10歳)が死に、10月4日にユイ(メス、4歳)、同14日にジェイン(メス、7歳)、今月6日にアイが続いた。

 いずれも死因は同じ細菌によるもので、飼育施設内で感染が広まったと考えられる。ほかにも1匹に症状が確認され、現在も隔離して慎重に見守っている。同園では過去にも複数のコアラが死んだことはあったが、同園飼育展示課の桜井普子(ひろこ)課長(53)は「短期間で4匹も続けて死んだのは今回が初めてではないか」と事態の深刻さを語った。

 園内では、日頃から感染症対策は徹底していたという。飼育員が飼育施設に入る際は手指や靴の消毒に加え、服にも消毒液を噴霧。エサのユーカリも必ず水洗いして出していた。

 ただ、今回の肺炎の原因となった細菌は常在菌で、侵入経路は不明という。桜井課長は「繁殖期や発情期など体力が落ちるときは病気になりやすい。死んだコアラの中には子育て中の個体もいて、疲れが出ていたのかもしれない」とみる。

 同園では感染拡大を受け、感染の疑いがないコアラの世話を先に行うなど、感染を広げないよう取り組んでいる。福守朗園長(52)は「飼育数が多いことが裏目に出たかもしれない。4匹の死を重く受け止め、今後の飼育に生かしていきたい」と力を込める。

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