愛される毒舌とは タレント・清水ミチコの流儀

タレントの清水ミチコさん。「最近、ヨボヨボしていると言われ、腹が立ちました(笑)」(鴨川一也撮影)

 独特の創作と陽気な毒舌を織り交ぜたモノマネ芸などで人気のタレント、清水ミチコさん。このほど、清水さんがホスト役を務める雑誌「婦人公論」(中央公論新社)の鼎談(ていだん)コーナーが『三人寄れば無礼講』(同社)として書籍化された。「お題なし、全てアドリブ」という型破りの企画では、巧みに“毒”を盛る清水さんにのせられ、ゲストの本音や秘話が引き出されていく。まるで、その“毒”にまひしたかのように…。    (文化部 花房壮)
 ライフワーク
 女優の大竹しのぶさん、脚本家・映画監督の三谷幸喜さん、脳研究者の養老孟司さん、漫画家の蛭子能収(よしかず)さん、ミュージシャンの井上陽水さん、シンガーソングライターの森山良子さん、タレントの山口もえさん、コラムニストの泉麻人さん…。収録された平成29年4月以降の18回分に登場する36人のゲストは実に多彩だが、そもそもなぜ対談ではなく、3人による鼎談スタイルなのか。
 「鼎談というのは、雑誌の企画ありきでした。鼎談のレギュラーは初めてだったので、最初は少し気が重かったけど、やってみたらすごく楽しかった。みなさんの話が本当に楽しくて、今では毎月のライフワークというか、今月は誰に会えるのか、と楽しみにしています」
 基本的に清水さんが聞き役になるが、盛り上がってくると他の2人もホスト役になり、話を転がしていくのも鼎談の魅力。その結果、秘話や赤裸々な本音などが飛び出してくる。
 例えば、“幸せな離婚”に話が及んだ大竹さんと三谷さんとの鼎談。清水さんが大竹さんの離婚について「みんなが冷やかしても平気そう」と切り込むと、「1回縁のあった人なんだから、別れたからって嫌な思いはしたくない…」と応答。そこから、話が発展していく。当時夫婦だった明石家さんまさんと娘のIMALUさんたちと行きつけの寿司屋で、元夫と偶然再会。さんまさんにあいさつする元夫を「大人になったね」とIMALUさんがほめるエピソードが明かされるのだ。
 清水さんも「魔性の女に鍛えられた(笑)」とオチを付けるのも忘れない。
 被害者からの“敬意”
 もう一つの読みどころは、清水さんのモノマネに関する話だ。
 200人以上のモノマネのレパートリーを持つ清水さん。鼎談には“モノマネ被害者”である森山さんや山口さんらも登場するが、「ちょっと毒のあるモノマネをお願いします」(森山さん)、「夫婦で見ている目の前で『ブラックもえ』をやってもらうのが夢」(山口さん)といずれも好意的で、清水さんのモノマネ芸へのリスペクトも隠さない。
 とはいえ、これまでにモノマネ対象者から注意やクレームを受けたことはないのか。清水さんは1回だけ緊張したことがあったと明かす。
 「(ミュージシャンの)長渕剛さんから『コンサートに来て、終わったらぜひ楽屋に来て』といわれて、ドキドキしながら楽屋に行ったら、『(コンサートで見せた)新しい俺を見てくれたか? 今後は過去の俺よりも新しい俺をどんどんやってくれ』って。男気があると感動しました」
 その後、長渕さんのモノマネをバージョンアップしたのか。「もう二度としません。男気がないので…」
 夢中は努力に勝つ
 子供の頃から、モノマネをして周囲から笑いをとったり、ウケることが何より好きだった清水さん。
 「モノマネをやっているのは、ただお客さんを笑わせたいだけ。努力もそれほどは…。元陸上競技選手の為末大さんの本の中に『努力は夢中に勝てない』という言葉があったと思いますが、好きな人に夢中になっていると、その人が言いそうなセリフが浮かぶんです。もちろん、そのセリフを本人が口にすることはありませんが」
 かつて、モノマネをしたミュージシャンの松任谷由実さんから言われた「愉快犯」とのレッテルは、清水さんにとっては褒め言葉。「だって、模倣犯と言われるのかと思ったら、愉快犯だと。一流は違いますね」
 最近、にわかにモノマネ意欲をかき立てられるのが、東京五輪のマラソンの札幌開催について不快感を示した小池百合子都知事だ。「怒っているところをもっと出したいですね。大人だから、その怒りを笑顔で包んでいる、といった感じで」
 芸能界の“愉快犯”が盛る一匙の毒に、解毒剤はあるのだろうか…。
     ◇
 しみず・みちこ 岐阜県高山市出身。昭和58年からラジオ番組の構成作家として活動。62年、フジテレビ系「笑っていいとも!」レギュラーに。同年、CDデビューも果たす。松任谷由実さん、大竹しのぶさん、桃井かおりさんらの独自のモノマネで人気を博したほか、映画やエッセーなど幅広い分野で活動中。

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