【ビジネスパーソンの必読書】新たな知恵を生むきっかけに

 米国ではバイデン大統領の誕生がほぼ確実になった。世界の潮流に影響を与える大国のトップだけに、どんな変化が起きるか、注意深く見守りたい。()

 オープンと連携
 □『イノベーションはいかに起こすか』坂村健著(NHK出版新書・800円+税)
 家電の自動制御や物流、自動運転などの技術として期待を集めるIoT(モノのインターネット)。そのコンセプトを1980年代に世界に先駆けて提唱した坂村健氏が、日本でイノベーションを促進するのに何が必要かを語る。
 坂村氏は84年から、機器に組み込むOS(オペレーティング・システム)であるTRONの開発プロジェクトのリーダーを務めている。TRONは現在、組み込み型OSの6割のシェアを占め、同プロジェクトの成果は、IoTに組み込むOSの世界標準となった。
 こうした経験を踏まえて坂村氏は、イノベーションに必要なのは「オープン」と「連携」だと強調。TRONはシステムをすべてオープンにしており、誰でも自由に使える。多くの人が使い、連携することで知恵が結集し、より良いイノベーションが起きる。
 今後、IoTを基盤とした日本独自のイノベーションが生まれることを期待したいところだ。
 「半歩先」の感覚
 □『ギフト・ショー 創造と進化の奇跡』芳賀信享著(東洋経済新報社・1500円+税)
 年に2回、東京・有明で「東京インターナショナル・ギフト・ショー(通称ギフト・ショー)」が開催されている。主催するビジネスガイド社の社長が、狙いや舞台裏を明かす。
 ギフト・ショーは、パーソナルギフトや生活雑貨のメーカーが新商品などを問屋やショップにお披露目し、商談を行う見本市。規模は国内最大級だ。
 ギフト・ショーでは、毎回テーマが設けられる。例えば2019年9月、第88回のテーマは「心地よい暮らしの提案」。テーマは、時代の潮流を読み、「半歩先」の感覚を重視して決められる。
 「コーナー」にあたる「フェア」の分類も「半歩先」を行く。第87回には技術トレンドを読み、「IoTホームプロダクツフェア」が設けられた。
 こうしたテーマやフェアの設定における、世の中を俯瞰(ふかん)的に眺め、切り口を探し出すスキルは、あらゆる業種や職種で有用なのではないだろうか。
 暮らしやすい社会
 □『ガチガチの世界をゆるめる』澤田智洋著(百万年書房・1700円+税)
 前例や規則、常識、「世間の空気」に縛られ息苦しい思いをすることは、誰しもあるだろう。「ゆるスポーツ」という新しいスポーツを提唱する著者が、それらの縛りを「ゆるめる」考え方や方法論を語る。
 「ゆるスポーツ」は、スポーツを苦手とする著者が「苦手を克服するのではなく、スポーツの方を変えてやろう」と考え、ルールやプレーをゆるめた競技だ。
 例えば「500歩サッカー」。腰に歩数を計測する機器をつけてサッカーをプレーし、歩数が500になると退場しなくてはならない。さらに3秒以上静止して「休む」と、動ける歩数が増える。
 運動が得意で機敏に動く人は、すぐ退場することになる。また「休む」と戦力アップになるため、休むと褒められる。
 「ゆるスポーツ」の「ゆるめる」という考え方は、弱者やマイノリティーを排除するのではなく「包摂」する。誰もが暮らしやすい社会をつくるのに、大いに役立つ発想といえるだろう。

ジャンルで探す