【ビジネスパーソンの必読書】『YouTube作家的思考』『ダイヤモンド 欲望の世界史』『仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝』

『YouTube作家的思考』

 ノーベル平和賞をWFP(国連世界食糧計画)が受賞。かつてWFPに勤務した日本人の著書によれば、支援現場は常に「修羅場」だ。今この瞬間にも修羅場で働く人がいることを、私たちは忘れてはならない。
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 「人」の魅力生かす
 □『YouTube作家的思考』長崎周成、白武ときお、谷田彰吾、山口トンボ、カツオ著(扶桑社新書・840円+税)
 若者を中心に絶大な支持を集めているYouTuber(ユーチューバー)たち。彼らは単独で配信をしていることもあるが「作家」がついて、企画や構成を担当していたりもする。そうしたYouTube作家の5人が、それぞれの方法論や考え方を語る。
 「フワちゃんTV」を手がける長崎周成氏はユーチューバー・フワちゃんの「なんかおもしろい」魅力を発揮させるのに全力を尽くす。YouTubeチャンネル『カジサックKAJISAC』の作家である山口トンボ氏は「カジサック(芸人のキングコング・梶原雄太)がやる意味」を考えたストーリーを考える。
 他の3人のYouTube作家の話からも、YouTubeは「人」の魅力を生かすメディアであることがわかる。短くスピーディーな動画の中で「人間の深み」を出せるユーチューバーや作家こそが人気を保つことができるのだろう。
 市場支配の歴史
 □『ダイヤモンド 欲望の世界史』玉木俊明著(日経プレミアシリーズ・850円+税)
 ぜいたく品の代表格ともいえるのが宝石、とくにダイヤモンドだ。ダイヤモンドが一大ビジネスになっていった歴史を、かつて市場を支配した企業「デビアス」を中心に描く。
 ダイヤモンドの主要な原産地は時代によってインドからブラジル、そして南アフリカへと移り変わった。デビアスは、1888年に南アフリカで設立された。
 ダイヤモンドが高価な理由は、デビアスがダイヤモンドの生産から流通までを支配し、供給量をコントロールしていたからだろう。デビアスの創業者、セシル・ローズは、南アフリカで鉱山を次々と買い占め、同業他社とカルテルを結ぶなど、あらゆる手段を講じて価格の下落を抑えた。
 20世紀後半には、ロシア企業の造反、米国での反トラスト法違反の訴訟などで、デビアスは価格カルテルを維持できなくなる。だが今もダイヤモンドの価値が減じていないのは、それだけデビアスの戦略が巧みであった証左なのだろう。
 地方企業の理想像
 □『仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝』鵜飼秀徳著(朝日新聞出版・1400円+税)
 2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏は当時、京都の島津製作所の社員であり、今も在籍している。その島津製作所における明治期、創業当初のエピソードの数々を紹介。
 創業者の島津源蔵(初代)は京都の仏具職人だった。ところが明治初期の廃仏毀釈で寺院が激減し需要がなくなる。一方、維新の戦乱で荒廃した京都では、槇村正直知事が復興のカギを科学技術に求めようとしていた。源蔵は、それに歩調を合わすように島津製作所を創業する。
 そして源蔵は息子の梅治郎(二代源蔵)とともに、有人気球飛行、蓄電池、エックス線、電子顕微鏡といったさまざまな「日本初」を手がけていく。梅治郎は大正時代にすでに自社バッテリーを積んだ電気自動車を乗り回していたという。
 京都と島津製作所は持ちつ持たれつの関係だった。地域が企業を育て、企業が地域振興に貢献する。産業振興、地方創生の理想像がここにあるのではないか。

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