【児童書】『ヤクシマザルを追って』文・山極寿一、絵・ふしはらのじこ

 観光地化で警鐘も
 北は青森県の下北半島から、南は鹿児島県の屋久島まで、日本に生息するニホンザル。数十万年前に日本列島に住み着いたと考えられている。氷河期を経て九州本土から切り離された屋久島のサルは、ヤクシマザルと呼ばれ、本土のサル(ホンドザル)とは異なる特徴を備えている。
 そんなヤクシマザルの暮らしや特徴を、長年にわたって現地で生態調査を行ってきたゴリラ研究の第一人者で京都大学総長の山極寿一さんが、優しいタッチの絵とともに紹介する。
 温暖な気候の中で生きるヤクシマザルは、手足の指の毛が少なく、大人になると尻の毛が抜け落ちるなど、気候の違いが刻まれている。
 世界自然遺産の森が広がる西部林道は、ヤクシマザルを身近で見ることのできる場所だが、最近では観光客に食べ物をねだることを覚えてしまったサルもいるという。サルに食べ物を絶対に与えず、ミカンやリンゴの皮なども捨てずに持って帰ることが大切、と警鐘を鳴らしている。(野草社・1300円+税)
 横山由紀子

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