15日に戦没者追悼式 戦後生まれの陛下ご臨席へ お言葉にも注目

平成27年8月、先の大戦に関する特別展を見学された天皇ご一家=東京都千代田区(代表撮影)

 終戦から74年を迎える15日、全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれ、5月に即位した天皇陛下が初めて臨席される。先の大戦を経験した人々の高齢化が進む中、戦後生まれの陛下はどのような言葉を述べ、歴史と向き合われていくか。陛下と懇談したことのある被爆者や戦没者遺族らからは、次代への記憶の継承に向けた期待の声が聞かれる。
 「上皇さまから平和への思いをきちんと引き継ぎ、決して忘れない、という強い気持ちをお持ちだ」
 平成8年10月、天皇、皇后両陛下が、そろって初めて広島市の広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れた際、案内役を務めた元館長で被爆者の原田浩さん(80)はそう感じた。被爆後の街を再現したジオラマを厳しい表情で見つめていた陛下は、おもむろに原田さんに「このときは何をしていましたか」と尋ねられた。前年に来館した上皇さまと同じご質問だった。
 疎開先に向かう途中、爆心地から約2キロの広島駅で被爆。けがをした父に手を引かれ、燃えさかる火の手から線路沿いを逃げ、九死に一生を得た体験を話すと、陛下はじっと耳を傾けられた。「うわべだけのご見学ではない。被爆者の話を聞き、過去の歴史を自分のものにされようとする意気込みを感じた」(原田さん)
 陛下は最後に「平和について多くの人々に伝えるということは、とても大切なことですね」と述べられたという。原田さんは「陛下は国民・遺族の視点で、平和のために何ができるかを考えられていくだろう。私どもにとって極めて心強いことだ」と話す。
 戦後70年の27年8月、天皇ご一家は先の大戦に関する都内の特別展を訪れ、「鹿児島大空襲」(昭和20年6月)で両親ら家族7人を失った春成(はるなり)幸男さん(94)と懇談する機会が設けられた。「大変ご苦労をされたそうですね」。陛下が春成さんに語りかけられた。
 春成さんは「鹿児島の空襲もご存じで、相手に寄り添うご姿勢を十分に感じた。語り継ぐことは残された者の使命だが、陛下は体験者の気持ちを受け止めようとされていた」と回想する。
 陛下は海外での犠牲者にも心を寄せてこられた。平成19年7月、外交関係樹立35周年にあたり訪れたモンゴルで到着翌日に足を運ばれたのは、同国で強制労働に従事し、亡くなった日本人抑留者の慰霊碑だった。先の大戦後、シベリアだけでなく同国でも約2千人の抑留者が死亡したとされる。「さまざまな日程の中、まず慰霊碑を訪れたことは、多くの抑留者が亡くなった悲劇や先人の苦労と努力に思いをはせられていたことの表れだった」(同行した宮内庁関係者)
 側近によると、陛下は重ねてきた慰霊を踏まえ、令和初となる式典に向け、約1週間前からお言葉の推敲(すいこう)を重ねられたという。

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