寒波のさなか、冷たい水浴び…山形・上山で奇習「加勢鳥」

バケツで水をかけられ、「カカカカカー」と退散する加勢鳥=11日、山形県上山市十日町(柏崎幸三撮影)

 山形県上山市の伝統民俗行事の奇習「加勢鳥(かせどり)」が11日、同市内の上山城城下で行われ、大勢の見物客で賑わった。
 「稼ぎ鳥」が語源とされる加勢鳥は、五穀豊穣や商売繁盛を願う民俗行事として寛永年間に始まった。明治時代に旧藩時代の行事として廃止されたが、有志が昭和34年に復活させた。
 横戸長兵衛市長が「きょうは雪もなく、風もなく最悪のコンディション」と挨拶で笑いをとり、東根市の公務員、小山秀平さん(24)が「上山の繁栄を願い、蔵王下ろしの寒波や酒の誘惑にも負けず、冷たい水を物ともせず力いっぱい飛び跳ねることを誓います」と宣誓。地元・上山市、山形市、東京都、千葉県などから参加した35羽が「ケンダイ」という蓑傘を被り、舞いを披露した。
 今年で23回目という栃木県大田原市の会社員、北原孝弘委さん(46)は「雪も風もなくきょうは暖かい」とサラシ姿にケンダイを被り「カッカッカーのカッカッカッ」と鳴き始めた。米国ニュージャージー州出身の英語教師、ジェームズ・アマンダさん(30)も「8回目です、わくわくです」と意気込んだ。
 見物人は商売繁盛や火の用心を願い、加勢鳥にひしゃくで祝い水をかける。バケツ15個を店先に用意した菓子司「十五屋本店」の松本佳子さん(61)が勢いよくバケツで水をかけると、「冷たいー、カカカカーッ」と逃げ回る加勢鳥もいた。
 中山町から家族5人で来た小学4年、佐藤凜さん(10)は「毎年来ていますが、水を撒いたら加勢鳥が寒そうだった」、妹の幼稚園年中、杏(あん)ちゃん(5)は「怖いー」、弟の小学2年、駿君(7)は「水かけが面白かった」と話していた。
 復活60年目にあたりカセ保存会は、後継者育成やケンダイ制作の費用をクラウドファンディングで集めるなど、加勢鳥保存の取り組みを進めている。同市観光物産協会の長橋圭子さん(40)は「昨年は3000人の観光客が訪れましたが、今年は確実に増えました」と喜んでいた。

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