勤労統計ミス 組織的隠蔽か 相次ぐずさん対応

「毎月勤労統計」の不適切調査問題を受け、記者会見で謝罪する根本厚労相=11日午後、東京都千代田区の厚労省(納冨康撮影)

 厚生労働省が11日に公表した毎月勤労統計の不適切な調査は、国の基幹統計の信頼を失う異例の事態だ。不適切調査は1年近く公表されず、厚労省の「組織的隠蔽(いんぺい)」を指摘する声も上がる。厚労省では昨年にも、裁量労働制のデータでずさんな対応が露呈。年金記録紛失が明らかになった平成19年の「消えた年金問題」では、第1次安倍政権退陣のきっかけになったこともあり、政府・与党は戦々恐々としている。
 厚労省がミスを自覚し始めたのは昨年1月。東京都の抽出調査を全数調査に近づけるため改変ソフトを購入したが、公表しなかった。昨年12月、総務省統計委員会の西村清彦委員長から「全数調査でないのは大きな問題ではないか」との指摘があり、ようやく公表に向けて検討を始める。
 組織的隠蔽ではないかとの批判に対し、根本匠(たくみ)厚労相は「現段階でそういう事実はない」と否定したものの、厚労省幹部は「今後、そういった観点で調査される」と強調。担当職員らが不適切調査と認識しながら、組織全体で情報共有していなかったと釈明した。
 全数調査の不備が指摘された東京都の小池百合子知事は11日の定例会見で、「基本的に国からの受託業務としてやっている。決めるのは国の方だ」と突き放した。
 厚労省は過少支給した人に追加支給するとしているが、延べ約1千万人は住所が把握できていない。失業給付は住所がなくても受給できるからであり、中には死亡した人も含まれ、追加給付は難航を極める。
 似たような問題で昨年、日本年金機構による約130万人の年金の過少支給があった。同年には裁量労働制で、厚労省が不適切な調査データを作成していたことが問題になり、働き方改革法案から同制度に関する部分を撤回した経緯がある。

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